自己都合で退職すると失業保険はいつから?給付制限1か月の数え方と、辞める日から2か月の動き方を時系列で整理

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自己都合で会社を辞めたあとの失業保険(基本手当)は、ハローワークで手続きをした日から7日間の待期を終え、さらに原則1か月の給付制限が過ぎてから支給の対象になります。給付制限は以前は原則2か月でしたが、退職日が令和7年4月1日以降なら原則1か月です。

つまり、退職してすぐにお金が入るわけではありません。手続きを退職の翌週に済ませたとしても、支給の対象になるまでに最低でも1か月と1週間ほどはかかります。この期間の生活費、健康保険、年金をどうするかを、辞める前に決めておく必要があります。

この記事では、退職日を「0日目」として、今日から1週間、1か月、2か月と時間の順に、何をいつやるのかを並べます。数字や期間は厚生労働省とハローワークの公式ページで確認したものだけを使っています。

先に押さえる数字:待期7日と給付制限1か月

厚生労働省のページでは、正当な理由がなく自己の都合で退職した場合、基本手当の受給資格決定日から7日間の待期期間が終わったあと、1〜3か月は基本手当が支給されないと案内されています。この1〜3か月のうち、退職日が令和7年4月1日以降なら原則1か月、令和7年3月31日以前なら原則2か月です。

3か月になるのは、次の2つの場合です。

  • 退職日から遡って5年間に、正当な理由なく自己都合で退職して受給資格決定を受けたことが2回以上ある場合
  • 自己の責めに帰すべき重大な理由で解雇された場合

転職を何度かしている人は、過去5年の間に失業保険を受けた回数を思い出しておいてください。回数の数え方に迷うときは、ハローワークの窓口で聞くのが確実です。ネットの解説には「3回以上」と書いているものもあり、公式ページとは食い違っています。

待期と給付制限は別のものです。待期の7日間を数え終わったあとで、給付制限の1か月が始まります。この2つを足した期間は、基本手当が支給されません。

自己都合かどうかで、待つ期間が変わる

給付制限がかかるのは「正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合」です。会社の倒産や解雇などで離職した人は特定受給資格者、期間の定めのある契約が更新されなかったことなどによる離職の一部は特定理由離職者という区分になり、どちらも一般の離職者より手厚い給付日数になる場合があります。給付制限の扱いや区分の線引きはハローワークの判断になるので、自分がどれに当たるかは窓口で確認してください。

ハラスメントが原因で辞めた場合に、離職票の理由欄がどうなるかは別の記事にまとめています。離職票の「自己都合」のまま手続きを進める前に、一度読んでおくと判断しやすくなります。

関連記事:ハラスメントで辞めたら会社都合になる?離職票の「自己都合」で失敗しない3つの注意点

今日:退職日が決まったら、先に確認しておくこと

退職を伝える前でも、決めたあとでも、今日のうちにできる確認が3つあります。

受給資格があるか(雇用保険に入っていた期間)

ハローワークのページでは、受給資格の条件が2つ挙げられています。ひとつは、ハローワークに求職の申込みをして、就職する意思と能力があるのに就職できない「失業の状態」にあること。もうひとつは、離職日以前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あることです。

被保険者期間は、離職日から1か月ごとに区切って数えます。賃金支払いの基礎になった日数が11日以上、または時間数が80時間以上ある月を1か月として数える決まりです。特定受給資格者や特定理由離職者は、離職日以前の1年間に通算6か月以上あれば足ります。

転職したばかりの人は、前の会社の期間と合算できる場合があります。ただし、条件の確認が必要なので、前職の雇用保険被保険者番号や離職票が手元にあるかも見ておきます。

病気やけがで、すぐに働けない状態ではないか

同じページに、病気・けが、妊娠・出産・育児、休養が目的、家事に専念する、といった理由ですぐに就職できない人は、失業の状態に当たらないと書かれています。ハラスメントで心身が限界の状態で辞める人は、まず休養が必要な場合が多いでしょう。その場合は、すぐに基本手当を受けるのではなく、受給期間の延長を考えます。仕組みは後の節に書きます。

1〜2か月分の生活費の見通し

退職月の給与が最後に入る日、翌月の住民税、国民健康保険料や国民年金保険料の支払いなどを書き出します。手続きから最初の支給までに2か月近くかかると考えて、家賃、食費、保険料の合計を出しておいてください。

書き出すときの形は、次のようなメモで十分です。

  • 毎月かかるお金:家賃、光熱費、通信費、食費、保険料の合計
  • 退職後に入る見込みのお金:最後の給与、有給の買い取りなど(会社の規定によって異なります)
  • 足りない月がいつ生じるか

退職日〜1週間後:書類を受け取り、ハローワークへ行く

退職日当日にもらうものを確認する

失業保険の手続きでは、会社が発行する離職票が必要です。雇用保険被保険者証、本人確認書類、マイナンバーを確認できる書類、写真、振込先の通帳またはキャッシュカードなども求められます。細かな持ち物はハローワークの案内で確認してください。

離職票は退職日に手渡されないことが多く、郵送で届くのが一般的です。1週間たっても届かないときは、先延ばしにせず会社へ連絡します。届かない場合の動き方は、次の記事に手順と文例をまとめています。

関連記事:離職票が届かないときの動き方|退職後に会社から何も来ない場合、今日から1か月の手順と文例

催促するときの一文

電話でもメールでも、次のように期限と用途を添えて伝えます。

「お世話になっております。◯月◯日付で退職した◯◯です。雇用保険の手続きのため、離職票の送付状況を教えていただけますか。◯月◯日までに届かない場合、ハローワークに相談する予定です。」

最後の一文は、脅しではなく事務連絡として添えます。届く日が分かれば、その日までは待つ、という形で十分です。

離職票が届いたら、すぐにハローワークへ

離職票を受け取ったら、住所を管轄するハローワークで求職の申込みをし、受給資格の決定を受けます。待期の7日間は、この受給資格決定日から数えます。手続きが遅れると、そのぶん支給の開始も後ろにずれます。

ここで確認したいのは、離職票の離職理由の欄です。自分の認識と違う理由が書かれていたら、その場で窓口に伝えます。異議がある場合の手順はハローワークの案内に従います。

1週間後〜1か月後:待期と給付制限を過ごす

待期の7日間は、誰でも同じ

受給資格決定日から7日間は待期期間で、自己都合でも会社都合でも同じようにかかります。この間にアルバイトなどで働く予定がある人は、待期や認定にどう影響するかを、事前に窓口で確認してから動いてください。

給付制限の1か月に、やっておきたいこと

待期が終わると、自己都合の場合は給付制限が始まります。この期間は基本手当は出ませんが、求職活動や手続きは進められます。

  • 雇用保険説明会に出席する日程を確認し、予定に入れる
  • 求人を探し、応募や面接など、認定日に報告できる活動を始める
  • 健康保険を決めて、手続きを済ませる
  • 国民年金の切り替えを済ませる

退職後の健康保険は、任意継続・国民健康保険・家族の扶養から選びます。国民年金の切り替えは、退職日の翌日から14日以内の手続きが目安です。どちらも、失業保険の手続きより先に期限がくるものがあります。

関連記事:退職後の健康保険はどれを選ぶ?任意継続・国民健康保険・家族の扶養を、場面別Q&Aで整理

教育訓練を受けると、給付制限が解除される場合がある

厚生労働省のページには、令和7年4月以降にリ・スキリングのための教育訓練等を受けた(受けている)場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できるようになったと書かれています。申し出には、訓練実施施設による訓練開始日の証明書が必要で、参考様式として「給付制限解除に係る証明書」が掲載されています。

どの講座が対象になるのか、解除される日はいつからか、といった条件はページに細かく書かれていません。受講を検討している講座があるときは、申し込む前にハローワークで対象になるかを確認してください。確認しないまま費用を払うのは避けます。

1か月後〜2か月後:認定を受けて、最初の支給へ

認定日にハローワークで失業の認定を受ける

基本手当は、原則として4週間に1回の認定日に、前回の認定日からの求職活動の実績を報告して、失業の認定を受けることで支給されます。認定日は受給資格者証に書かれているので、手帳などに書き写しておいてください。認定日に行けないときは、事前に相談が必要です。

給付制限が1か月の場合の、最初の入金までの流れを日付で考えてみます。これはあくまで計算の例で、実際の日程はハローワークから示される認定日に従います。

  • 11月10日:離職票が届いたので、ハローワークで求職の申込みと受給資格の決定を受ける
  • 11月10日〜16日:待期の7日間
  • 11月17日〜12月16日ごろ:給付制限の1か月
  • 12月中旬以降:給付制限が終わったあとの認定を経て、最初の振込

手続きをした日から数えて、最初の入金まではおおむね2か月かかります。11月に手続きをして12月末に入金される、といった時間感覚になります。

この計算を、自分の退職日に置き換えてみてください。カレンダーに「離職票が届く予定日」「ハローワークに行く日」「待期が終わる日」「給付制限が終わる日」の4つを書き込むだけで、お金が足りなくなる月が見えてきます。家賃の引き落とし日や、住民税の納付書が届く時期も同じカレンダーに書いておくと、支払いが重なる週を前もって知ることができます。

支給が始まったあと、就職が決まったら

就職が決まった場合は、その旨を認定日や就職日までにハローワークへ伝えます。働き始めたのに申告しないまま手当を受け取ると、不正受給になるおそれがあります。迷うときは、働く前に窓口へ聞いてください。

体調が悪くてすぐ動けないときは、受給期間の延長

基本手当を受け取れる受給期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。病気、けが、妊娠、出産、育児などの理由で、引き続き30日以上働けないときは、働けなかった日数分だけ受給期間を延ばせます。延長の上限は3年間です。

延長の申請は、働けなくなった日の翌日以降のなるべく早い時期に、住所を管轄するハローワークで行います。代理人による申請や郵送も認められています。ハラスメントで体調を崩して辞めた人が、回復してから求職活動を始めたいときに使える仕組みです。

医師の診断書が求められる場合があります。診断書の準備が必要かどうかも、窓口で最初に聞いておくと二度手間になりません。体調を崩したあとのお金については、傷病手当金との関係を整理した記事があります。

関連記事:ハラスメントで体調を崩して辞めるとき、傷病手当金は退職後も受け取れる?今日から1か月の動き方

やりがちな注意点

注意点1:待期と給付制限を足し忘れる

「給付制限は1か月」と聞いて、手続きの1か月後に入金されると思い込む人がいます。実際は、待期の7日間と、認定日の関係で、手続きから最初の支給までに2か月近くかかります。生活費の計画は2か月で立ててください。

注意点2:自己都合のままで進めて、あとから悔やむ

離職票に書かれた離職理由は、給付制限の有無や給付日数に関わります。書かれた理由が事実と合っていないと感じたら、手続きの日に窓口へ伝えます。後から変えるほうが手間がかかります。ハラスメントなどで辞めた人は、メモやメールなど、客観的に分かるものを手元に残しておいてください。

注意点3:健康保険と年金の手続きを後回しにする

失業保険は支給まで時間がかかるので、その間に国民健康保険料や国民年金保険料の納付書が届きます。払えないと感じたときは、免除や減額の制度があるので、役所の窓口に早めに相談してください。

窓口では「退職して収入がなくなり、納付が難しい」と、退職日と現在の状況をそのまま伝えれば足ります。制度の対象になるかどうかは自治体ごとの判断なので、納付書の期限が来る前に、電話でも窓口でも構いませんので連絡しておくと安心です。

注意点4:求職活動の実績を作らないまま認定日を迎える

認定日には、求職活動をした実績を報告します。何もしていないと、その期間の認定が受けられない場合があります。求人への応募、セミナーの参加、職業相談など、認められる活動の内容は、受給説明会で配られる資料で確認してください。

今日からやることチェックリスト

  • 雇用保険に入っていた期間が、離職日以前の2年間で通算12か月以上あるかを確認する(特定受給資格者・特定理由離職者は1年間で6か月以上)
  • 過去5年の間に、自己都合退職で失業保険を受けた回数を思い出す(2回以上だと給付制限は3か月)
  • 2か月分の生活費を書き出し、足りない月がいつかを調べる
  • 退職日に離職票が届くかを、会社に確認する
  • 離職票が届いたら、その週のうちにハローワークで求職の申込みをする
  • 離職票の離職理由欄を、自分の認識と照らして確認する
  • 健康保険と国民年金の切り替え期限を、手帳やカレンダーに書く
  • 体調が悪く働けないときは、受給期間の延長を窓口で相談する

辞めるかどうか迷っているときに

失業保険の仕組みを調べているのは、すでに退職を考えている人が多いと思います。給付制限があっても、その間の生活を支える手立てを組み合わせれば、辞めたあとの数か月を乗り切る見通しは立てられます。

一方で、退職の伝え方、有給の使い方、離職票の理由の書かれ方など、会社とのやりとりで不安がある場合は、一人で抱えこまなくても構いません。弁護士への無料相談も選択肢のひとつです。退職までの流れ全体は、次の記事で順番に並べています。

関連記事:退職するときにやること一覧|伝える時期から退職後の保険・年金まで順番に整理

基本手当の手続きの流れを、場面別Q&Aで詳しく見たいときは、こちらも参考になります。

関連記事:失業保険(基本手当)はいつから・いくらもらえる?退職後の手続きと受給までの流れを場面別Q&Aで整理

まとめ

自己都合で退職した場合、失業保険は待期7日のあと、原則1か月(退職日が令和7年4月1日以降の場合)の給付制限を経て支給の対象になります。過去5年で自己都合退職の受給が2回以上あるときと、重責解雇のときは3か月です。

手続きをした日から最初の入金までは、おおむね2か月と考えて、生活費の見通しを先に立てておきます。離職票は郵送で届くことが多いので、届かなければ早めに会社へ連絡し、届いたらその週のうちにハローワークへ行きます。

体調が悪く働けないときは、受給期間を延長できます(上限は3年間)。給付制限の解除を受けられる教育訓練については、受講を申し込む前に窓口で対象かどうかを確かめてください。最終的な受給の可否や日数、日程は、あなたの雇用保険の加入状況やハローワークの判断で決まります。手続きの前に、公式サイトか最寄りのハローワークで確認してください。

参考にした公的ページ:厚生労働省|雇用保険の給付制限について、ハローワークインターネットサービス|基本手当について