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退職後に失業保険(正式には雇用保険の基本手当)を受け取るには、離職票を持って、住んでいる地域のハローワークで求職の申込みをする必要があります。会社が自動で手続きしてくれるものではなく、自分で窓口に行かないと始まりません。
お金が入るまでの流れは、大きく「求職申込み(受給資格の決定)→ 待期7日 → 給付制限(自己都合の場合)→ 失業の認定 → 振込」です。令和7年4月1日以降に退職した人は、正当な理由のない自己都合退職でも、給付制限が原則1か月になっています。それより前に退職した人は原則2か月で、ここを取り違えると見込みが1か月ずれます。
この記事では、退職後によく出てくる場面を5つ並べて、それぞれ「どうなるか」「何を準備するか」を書きます。数字や条件は、厚生労働省とハローワークの公開ページで確認できた範囲だけを使い、確認できなかった部分は「ハローワークで確認」と書きました。
先に全体の流れをつかむ
ハローワークインターネットサービスの案内では、受給手続きは次の順番で進みます。
- 住居を管轄するハローワークで求職の申込みをして、離職票(-1と-2)を提出する(受給資格の決定)
- 指定された日に受給説明会へ出る。このとき、第1回の失業認定日が知らされる
- 原則4週間に1回、ハローワークで失業認定申告書を出して、失業の認定を受ける
- 認定日から通常5営業日ほどで、指定した口座に基本手当が振り込まれる
受付は月〜金曜日(休祝日・年末年始を除く)の8時30分〜17時15分です。求職の申込みには時間がかかるので、16時前に着くよう案内されています。仕事帰りに駆け込むより、午前中に行くほうが安全です。
手続きの窓口は、勤めていた会社の近くではなく、今住んでいる場所を管轄するハローワークです。引っ越した人は、新しい住所の管轄を調べてから行きます。
Q1.そもそも自分はもらえる?受給の条件を知りたい
基本手当は、働く意思と能力があり、仕事を探しているのに就職できない状態の人が対象です。そのうえで、被保険者期間の条件があります。
- 原則:離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算12か月以上ある
- 倒産・解雇などの「特定受給資格者」や、やむを得ない理由で辞めた「特定理由離職者」:離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算6か月以上ある
「通算」なので、直前の会社だけでなく、2年以内なら前の会社の期間も合算できます。転職の間が空いていても、雇用保険に入っていた月は数えます。
次に気になるのは、病気やけがですぐ働けないケースです。基本手当は「すぐに働ける状態」が前提なので、体調が悪くて働けない間は対象になりません。その場合は、受給期間を延長する制度があります。病気・けが・妊娠・出産・育児などで30日以上働けなくなったとき、働けない日数分、受給期間を延ばせます。延長できる期間は最長で3年間です(所定給付日数が330日の人は3年-30日、360日の人は3年-60日)。
ハラスメントで心身を壊して辞めた人は、この延長が必要になる場面があります。回復してから申込みたい場合は、離職日の翌日から1年以内の早い段階で、延長の手続きを管轄のハローワークに聞いてください。
Q2.離職票がまだ届かない。先に何をすればいい?
退職してから10日〜2週間ほどたっても、離職票が手元に来ないことがあります。受給手続きには離職票-1と-2が必要なので、止まってしまう人が多い場面です。
この場合は、次の順番で動きます。
- 会社の人事・総務に、メールで発送状況を聞く(送った日、送り先を残すため、電話よりメールが向きます)
- 返事がなければ、管轄のハローワークに電話して、離職票が届いていないことを伝える
- ハローワーク側から会社に連絡してもらえる場合があるので、案内に従う
会社への確認メールは、次のように短くて構いません。
「お世話になっております。◯月◯日に退職した(氏名)です。雇用保険被保険者離職票(-1・-2)がまだ届いておりません。発送の状況と、発送予定日をご連絡いただけますでしょうか。失業給付の手続きに必要ですので、◯月◯日までにご返信いただけると助かります。」
送り方や催促の具体的な手順は、離職票が届かないときの動き方にまとめています。離職票に書かれた離職理由に納得できないときの注意点は、ハラスメントで辞めたら会社都合になる?で整理しました。
Q3.申込みに行くとき、何を持っていけばいい?
ハローワークインターネットサービスに載っている必要書類は、次のとおりです。
- 雇用保険被保険者離職票(-1、-2)
- 個人番号(マイナンバー)を確認できる書類(1種類)
- 身元(実在)を確認できる書類(写真付きの官公署発行の書類1種類、または異なる2種類の書類。コピーは不可)
- 写真2枚(縦3.0cm×横2.4cm)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
マイナンバーカードがあれば、個人番号と身元の確認が1枚で済みます。持っていない人は、通知カードや住民票(個人番号つき)と、運転免許証など別の書類の組み合わせになります。ここは年によって案内が変わることがあるので、行く前に管轄のハローワークのページか電話で、その日の持ち物を確認してください。
よくある失敗は、写真を撮り忘れる、通帳ではなくキャッシュカードが別名義だった、離職票-2を会社から受け取っていない、の3つです。前日の夜に、書類を机に並べて数えておくと防げます。
Q4.いつから振り込まれる?待期7日と給付制限の数え方
申込みの日から振込まで、ふつうは次の3つの期間を順番に通ります。
待期(7日間)
求職の申込みと離職票の提出をして、受給資格が決まった日から、失業の状態が通算7日間続くまでは、基本手当は出ません。この7日間を待期と呼びます。退職理由にかかわらず、全員に共通する期間です。
給付制限(自己都合の場合)
自己都合で辞めた人は、待期が終わったあと、さらに給付制限の期間があります。厚生労働省のページで確認できた内容は次のとおりです。
- 退職日が令和7年4月1日以降:原則1か月
- 退職日から遡って5年間に、正当な理由なく自己都合退職して受給資格の決定を受けた回数が2回以上ある場合:3か月
- 自分の責任による重大な理由で解雇された場合:3か月
注意したいのは、ハローワークの手続きページの一部に、いまも「2か月」と書かれた説明が残っていることです。これは令和7年3月31日以前の退職に当てはまる数字で、4月以降に辞めた人は原則1か月です。自分の離職日と、「5年以内に何回自己都合で辞めて受給したか」を、窓口で必ず確かめてください。
また、令和7年4月以降にリ・スキリングのための教育訓練等を受けた(受けている)場合は、給付制限が解除されて、基本手当を受けられる制度があります。解除の申し出には、訓練実施施設が出す訓練開始日の証明書が必要です。対象になる講座や手続きの細かい条件は、ここでは確認できた範囲を超えるので、受講を考えている人は申込み前にハローワークで聞いてください。
認定と振込
待期と給付制限が終わると、原則4週間に1回の失業認定日に、失業認定申告書と雇用保険受給資格者証を持って行き、認定を受けます。認定の日から通常5営業日ほどで、指定口座に振り込まれます。
ざっくりした目安として、令和7年4月以降の自己都合退職で、特に延長などがない場合は、次のようなイメージになります。
- 11月10日に求職申込み(受給資格決定)
- 11月10日から7日間が待期
- 待期のあと、約1か月が給付制限
- 給付制限のあとの最初の認定を受けて、数日後に初回の振込
実際の日付は、ハローワークで渡される受給資格者証と、受給説明会で伝えられる認定日で決まります。上の例は日数の感覚をつかむためのもので、個別の日付を保証するものではありません。「申込みをしてから初回の振込まで、2か月近くは収入がない」前提で、生活費を組んでおくほうが安全です。
Q5.いくらを、何日分もらえる?
基本手当の1日あたりの額は、離職前の賃金や年齢で決まります。上限・下限の金額は毎年8月に見直されるため、この記事には金額を載せません。ハローワークの窓口で、自分の場合の日額を教えてもらえます。
もらえる日数(所定給付日数)は、90日〜360日の範囲で、離職日の年齢、被保険者であった期間、離職理由によって決まります。自己都合退職などの一般の離職者の場合、ハローワークの案内で確認できた区分は次のとおりです。
- 被保険者であった期間が1年以上5年未満:90日
- 5年以上10年未満:120日
- 10年以上20年未満:150日
20年以上と、会社都合などの特定受給資格者・特定理由離職者の日数は、年齢によっても変わります。公式の「基本手当の所定給付日数」のページで確認してください。
受け取れる期間にも期限があります。受給期間は原則として、離職日の翌日から1年間です。1年を過ぎると、所定給付日数が残っていても受け取れなくなります。「少し休んでから動こう」と考えているうちに、この1年が迫ってくる人がいます。休むなら、延長の手続きが使えるかを先に確認してください。
初回の振込までの生活費を、先に計算しておく
失業保険で戸惑う人が多いのは、手続きより「お金が入るまでの空白」です。退職した月の給与が最後の収入になる人も多く、そこから初回の振込まで、次のような期間があきます。
- 退職から離職票が届くまで:1〜2週間ほど(会社の対応による)
- 申込みから待期の終わりまで:7日間
- 給付制限:原則1か月(令和7年4月1日以降の自己都合退職の場合)
- 認定日から振込まで:通常5営業日ほど
これを足すと、退職してから最初の振込まで、2か月前後かかる見込みです。会社都合などで給付制限がつかない人は、その分だけ短くなります。
家賃、光熱費、通信費、保険料、税金の支払いなど、毎月必ず出ていく額を一度書き出して、2か月分と比べてみてください。足りないと分かったら、退職日を後ろにずらせないか、有給を使い切れないか、といった相談を、辞める前の段階で上司や人事とするほうが選べる手が多くなります。退職後の保険料と住民税の支払いも、同じ時期に重なります。
失敗しやすい3つの注意点
1.求職活動の実績が足りずに、認定されない
失業の認定を受けるには、認定対象期間中に求職活動をした実績が必要です。ハローワークの案内では、認定対象期間中に原則2回以上(初回の認定日の期間は1回)、給付制限が3か月の場合は原則3回以上とされています。求人への応募、ハローワークでの職業相談、セミナーの受講などが実績になります。実績の数え方は細かく決まっているため、「何をすれば数えられるか」を受給説明会で必ずメモしてください。
2.アルバイトや内職をしたのに、申告しない
短時間のアルバイトでも、働いた日は失業認定申告書に書く必要があります。書かないままだと、不正受給と扱われるおそれがあります。働いた日・時間・収入を、カレンダーに先に書いておくと、認定日に慌てません。
3.離職理由の食い違いを放置する
離職票の離職理由が、実際の退職の事情と違うことがあります。ハラスメントや長時間労働で辞めたのに「自己都合」と書かれると、給付制限がつきます。納得できないときは、離職票を提出する際に、異議があることをハローワークの窓口で伝えられます。そのときに役立つのが、日付と内容を残したメモ・メール・診断書などの記録です。
1か月後までの動き方:申込み当日から初回の認定まで
手続きは窓口で終わりではなく、その後の動きで受給の時期が変わります。申込みの当日から順に、何をしておくかを書きます。
申込み当日
求職申込みの書類を書き、離職票を出して、受給資格が決まると、受給資格者証と、受給説明会の日時を渡されます。この場で、離職理由の判定結果と、給付制限がつくかどうかも確認できます。窓口では「私の離職日は◯月◯日です。給付制限は何か月で、初回の認定日はいつになりますか」と聞くと、必要な数字がまとめて出てきます。
離職理由の判定に納得できないときは、その場で「事実と違う点がある」と伝えてください。後から変えるより、手続きの最初に言うほうが話が早く進みます。そのとき、退職までのやり取りを残したメモ、メール、診断書などがあれば、持参して見せます。
受給説明会まで
受給説明会では、認定日の流れ、求職活動の実績として認められるもの、失業認定申告書の書き方を教えてもらえます。メモを取る前提で、筆記用具と受給資格者証を持っていきます。ここで聞いた「実績になる行動」を、その日のうちに予定表に書き込んでおくと、認定日の直前に慌てません。
給付制限の間
給付制限の間は、基本手当は出ませんが、就職活動は止めずに進められます。応募や職業相談の記録は、認定日が来たときの実績として使える場合があるので、日付・応募先・やったことを一行ずつ残します。「いつ、どこで、何をしたか」が書けない実績は、認定のときに説明に困ります。
初回の認定日
認定日には、失業認定申告書と雇用保険受給資格者証を持って、管轄のハローワークに行きます。申告書には、認定対象期間にしたこと(求職活動、働いた日、病気で働けなかった日など)を正直に書きます。書き間違えたときは、その場で窓口に伝えれば直せます。
認定日を忘れたり、体調で行けなかったりすると、その期間の分が認定されなくなるおそれがあります。行けない事情ができたら、前日までに、必ずハローワークに電話で連絡してください。連絡の際は、「認定日は◯月◯日ですが、体調を崩して行けません。どうすればよいか教えてください」のように、日付と理由を先に伝えると話が早いです。
やることチェックリスト
退職日が決まった人も、すでに辞めた人も、次の順で進めます。
- 退職日から1〜2週間で離職票が届くかを確認する。届かなければ、会社にメールで発送を催促する
- 離職票-1と-2が届いたら、離職理由の欄を読んで、事実と合っているか確かめる
- マイナンバーカード(または個人番号と身元の確認書類)、写真2枚、本人名義の通帳を準備する
- 午前中に、住んでいる地域を管轄するハローワークへ行き、求職の申込みをする
- 受給資格者証と、認定日・受給説明会の日程を受け取ったら、スマートフォンの予定表に入れる
- 求職活動の実績を、認定日までに必要な回数分つくる
- 病気などですぐ働けないときは、受給期間の延長を相談する
- 初回の振込まで収入がない前提で、2か月分ほどの生活費を確認する
一人で抱えきれないときは
失業保険の手続きは、窓口に行けば教えてもらえます。むずかしいのは、手続きより前の段階にあります。離職票が届かない、離職理由を「自己都合」にされた、退職を切り出したら嫌がらせが始まった、といった会社との間のトラブルです。
辞める前後の動きをひと続きで知りたい人は、退職するときにやること一覧に、伝える時期から退職後の保険・年金まで順番にまとめています。会社とのやり取りが自力では進まないときは、弁護士への無料相談も選択肢です。結果は契約内容や証拠の状況で変わりますが、第三者に状況を話すだけでも、次に取る手が見えやすくなります。
まとめ
失業保険は、離職票を持って自分でハローワークに行き、求職の申込みをするところから始まります。申込みの日から7日間の待期があり、自己都合で退職した人には、令和7年4月1日以降の退職なら原則1か月の給付制限が続きます。そのあと、原則4週間に1回の認定を受けて、通常5営業日ほどで振り込まれます。
今日できる一歩は、離職票が手元にあるかを確かめることです。ないなら、会社の人事に「発送状況を教えてください」と1通メールを送ります。ある人は、離職理由の欄を読んで、明日の午前中にハローワークの管轄と持ち物を調べます。
数字や条件は、確認した時点のものです。受給額や日数、給付制限の扱いは、最終的に管轄のハローワークの説明が基準になります。
確認に使った公的ページ:ハローワークインターネットサービス 雇用保険手続きのご案内、基本手当について、基本手当の所定給付日数、厚生労働省 令和7年4月以降の給付制限の解除について






