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退職でやることは多く見えますが、順番に並べると5つの段階に分かれます。「伝える前」「伝える日」「退職日まで」「退職後の2週間」「退職後のしばらく」です。迷ったら、いま自分がどの段階にいるかを決めて、その段階の項目だけを見てください。
期限が短いのは退職後の2つだけです。国民年金の切り替えは退職日の翌日から14日以内、健康保険の任意継続は退職日の翌日から20日以内とされています。この2つの日付を、退職日が決まった日にスマートフォンのカレンダーへ入れておけば、大きな取りこぼしは防げます。
この記事は、退職まわりの手続きを時系列で並べたまとめです。各段階で「どんなときに」「まず何をするか」を書き、詳しい手順と文例は個別の記事に案内します。ハラスメントや体調の問題で急いで辞めたい人も、同じ順番で使えます。
段階1:退職を伝える前にやること
上司に伝える前の数日で決めておくことが、そのあとの揉めやすさを大きく左右します。先に決めるのは、いつ辞めるかです。
法律では、期間の定めのない雇用なら、退職を申し入れてから2週間が過ぎれば退職の効力が生じるとされています。一方、就業規則に「1か月前まで」と書いてある会社も多く、待てる状況なら就業規則どおりに申し出るほうが揉めにくい、というのが労働局の案内です。2つがぶつかるときの考え方は、退職は何日前に伝えればいいのかをまとめた記事で整理しています。
日付そのものの決め方は、退職日の決め方で失敗しないための記事が役に立ちます。「辞めたいです」とだけ伝えて日付を決めなかった、口頭だけで記録が残らなかった、限界で連絡せずに出社をやめてしまった、という3つのつまずきが取り上げられています。
あわせて、次の3つを確認しておきます。
- 就業規則の「退職」の項目(何日前までに申し出るか)
- 有給休暇の残日数(給与明細、勤怠システム、人事・総務で確認できます。聞くときは「有給の残日数を確認したいのですが」で足ります)
- 手元に残しておきたい記録(勤怠の画面、給与明細、ハラスメントの時系列メモ)
記録がまだない人は、時系列メモのテンプレから始められます。退職後に未払い残業代を請求する可能性があるなら、勤怠の記録は在職中のほうが集めやすいので、退職後の未払い残業代の記事も先に読んでおくと動きやすくなります。
体調が崩れている人は、辞める前に確認したいことが増えます。傷病手当金を退職後も受け取るには、資格を失う日の前日までに被保険者期間が継続して1年以上あることなどの条件があり、「辞めてから考える」では間に合わない部分があります。条件と動き方は傷病手当金を退職後も受け取れるかを扱った記事に、受診するかどうかの目安は心療内科・精神科に行くか迷ったときの記事にあります。
自分では伝えられないと感じている場合は、退職代行を使う前に確認したい5つの場面を先に読んでください。会社から電話が来るのか、有給や残業代の話を頼めるのか、貸与品はどう返すのかといった、頼む前に決めておくことが載っています。
段階2:退職を伝える日にやること
伝える日にやることは、意思を伝えることと、伝えた記録を残すことの2つです。書面を出すなら、退職願と退職届の違いを知っておくと迷いません。退職願は「辞めたい」というお願い、退職届は「辞める」という届出です。出す前の手順と文例は退職願と退職届の違いと書き方の記事にまとめています。
伝えたあとに起きやすいことも、先に知っておくと慌てません。
- 「受理しない」と言われたとき:「受理されない」と「退職できない」は別の話です。その場で意思を言葉と記録で残し、メールで渡そうとした事実を残し、書面は郵送で届ける、という流れを退職届を受け取ってもらえないときの記事に書きました
- 態度が急に変わったとき:無視や嫌がらせ、脅しが始まったら、退職を切り出したら態度が豹変したときの記事で、やりがちな3つの失敗と文例を確認できます
- 「損害賠償を払え」「違約金がある」と言われたとき:辞めたときの金額をあらかじめ決めておくことは労働基準法第16条で禁止されています。その場でうなずかず、損害賠償・違約金を請求されたときの記事で5つの場面を見てから返信してください
電話で言われたことは、その日のうちに「本日〇時ごろのお電話で、〇〇とのご連絡をいただきました。退職日は〇月〇日のままです」とメールで返しておくと、口頭のやり取りが記録に変わります。
段階3:退職日までにやること
伝えてから退職日までの数週間は、有給の消化、休むときの連絡、引き継ぎ、そして退職後の手続きの下準備を並べて進めます。
有給は、退職日をもって権利が消えるため、会社が時季をずらす先がありません。「忙しいから無理」と断られても、あきらめなくてよい可能性が高いとされています。断られたときの伝え方と次の一手は退職前の有給消化を断られたときの記事にあります。
出社そのものがつらい日は、無断欠勤にしないことが最優先です。無断で来なくなると「連絡が取れない」と会社に主張されやすくなります。明日の朝に動けないときは明日もう出社できないときの最短手順を、メールやチャットの文面が必要なときは休む連絡のテンプレを使ってください。休む連絡と退職日を同じメールに書いておくと、記録としても整います。
退職日の2〜3週間前までに、会社へ次の3つを確認します。
- 住民税をどうするか。6月1日から12月31日に退職する場合は、本人が申し出れば最後の給与や退職手当から残りを一括で引いてもらえます。申し出なければ納付書で自分で払う形です。1月1日から4月30日の退職は、申し出に関係なく一括で引かれる扱いです(自治体で細部が異なることがあるため、市区町村の案内も確認してください)。会社は異動のあった月の翌月10日までに市区町村へ届出を出すので、早めに希望を伝えます。確認メールの文例は退職後の住民税の記事にあります
- 離職票、源泉徴収票、退職証明書をいつ、どんな方法で受け取るか
- 貸与品(PC、制服、社員証)をいつ、どう返すか
退職証明書は、労働基準法第22条に基づいて請求できる書類で、離職票とは別のものです。請求できる期間は退職時から2年とされています。口頭だけで頼むと「頼んだ記録」が残らないので、メールで請求してください。文例と、出してくれないときの動き方は退職証明書を会社が出してくれないときの記事にまとめています。
段階4:退職後の2週間でやること
ここが期限の短い段階です。次の日付を、退職日の翌日を1日目として数えます。退職日が10月31日なら、数え始めは11月1日です。
- 国民年金の切り替え:退職日の翌日から14日以内に、住んでいる市区町村の窓口へ。次の仕事がすぐ決まり、退職日の翌日から新しい会社の厚生年金に入る場合は、この手続きは不要です
- 健康保険の選択:任意継続、国民健康保険、家族の扶養の3つから選びます。任意継続は退職日の翌日から20日以内に申し込みます
- 離職票の請求:失業給付(基本手当)の手続きに使います
年金の窓口に持っていくものと、払えないときの免除・納付猶予(免除を受けた期間は10年以内なら追納もできます)は、退職後の国民年金の記事に場面別でまとめました。健康保険の3つの比べ方と、退職日がずれ込んだときの期限の数え方は退職後の健康保険の記事で確認できます。
離職票が届かないときは、待ち続けないでください。基本手当の受給期間は、原則として離職した日の翌日から1年間で、待っているあいだも日数は進みます。退職日の当日か翌日に文面で依頼し、1週間たっても返信がなければ2通目、それでも届かなければ約1か月後にハローワークへ相談する、という流れを離職票が届かないときの記事に文例つきで書いています。
離職票が届いたら、離職理由の欄を見てください。ハラスメントが原因で辞めたのに「一身上の都合」とだけ書かれていると、給付日数に差が出ることがあります。確認の仕方はハラスメントで辞めたら会社都合になるかを扱った記事にあります。窓口へ行く日は、証拠や経緯のメモを持っていくと話が早く進みます。
段階5:退職後しばらくしてからやること
2週間の手続きが終わったら、時間が経つと失われるものに目を向けます。
ひとつは未払い残業代です。賃金の請求権の消滅時効は、賃金支払期日から5年、ただし当分の間は3年と案内されています。退職した日から3年ではなく、それぞれの給料日から数えるため、月をまたぐごとに、いちばん古い月の分から消えていきます。今日、明日、1週間後、1か月後の順に動く手順は未払い残業代の記事にあります。
もうひとつは住民税です。納付書が届いたら、期限をスマートフォンの予定表に入れ、期限の1週間前にアラームを鳴らします。退職後の支払いは住民税のほかに年金と健康保険も重なるので、退職後6か月分の支払い一覧を1枚作っておくと生活費の見通しが立ちます。
一人で会社とやり取りを続けるのがつらいときや、金銭の請求の整理が難しいときは、弁護士への無料相談も選択肢です。損害賠償の請求や、残業代の計算、離職理由の争いのように、会社との交渉が必要になる場面で力になります。
退職の手続き 全体のやることチェックリスト
- 就業規則で、退職を何日前までに申し出るかを確認した
- 有給の残日数を確認し、最終出勤日と退職日を逆算した
- 勤怠や給与明細など、残しておきたい記録を手元に集めた
- 退職願か退職届かを決め、伝える日と書面の渡し方を決めた
- 伝えた内容と日付を、メールやメモで残した
- 住民税、離職票、源泉徴収票、退職証明書の受け取り方を会社に確認した
- 貸与品の返却方法と日にちを決めた
- 退職日の翌日から14日目(年金)と20日目(任意継続)をカレンダーに入れた
- 離職票が届かなければ、文面で依頼する日を決めた
- 離職票の離職理由の欄を確認した
- 未払い残業代の可能性があれば、時効を意識して動く日を決めた
まとめ
退職のやることは、伝える前に日付と記録を整え、伝える日に意思を文章で残し、退職日までに会社へ確認するものを確認し、退職後の14日と20日の期限を守る、という順番で進めます。全部を一度に片づけようとせず、いまの段階の項目だけを見れば足ります。
体調が限界で、順番どおりに動く余裕がない場合は、休む連絡と退職の意思を文章で残すことだけ先に済ませてください。残りの手続きは、そのあとに並べ直せます。
ほかのテーマのまとめもあります:職場のハラスメントを今すぐ止めたいときの状況別まとめ、ハラスメントの証拠の残し方まとめ、ハラスメントを会社に相談する方法まとめ。






