ハラスメント相談用まとめシートの作り方|時系列のまとめ方と資料作成のコツ

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれます。

※本記事の事例は、実際の相談事例を基に、個人や会社が特定されないよう一部を脚色・再構成したものです。

相談用のまとめシートは、A4で1〜2枚、次の4つが入っていれば足ります。「時系列の出来事」「相手の言葉の原文」「自分の体調と業務への影響」「会社にしてほしいこと」です。完璧な証拠がなくても、記憶を日付つきで書き出した紙は、面談で話す順番を決める台本になります。

人事の面談は30分で終わることが多く、頭が真っ白になって「とにかくつらいんです」としか言えなかった、という話はよく聞きます。紙があれば、緊張で言葉に詰まっても、指で追いながら読み上げられます。

この記事は、今夜30分で下書きを作り、明日以降に整えて、面談当日に渡すところまでの手順です。

まとめシートに入れる4つの項目

ハラスメント相談用まとめシートの作り方

  • 基本情報:作成日、あなたの氏名と部署、相手の氏名と役職、あなたとの関係(直属の上司、他部署の先輩など)
  • 出来事の一覧:日付、場所、相手の言動、その場にいた人、あなたの対応
  • 影響:眠れない、出社前に吐き気がする、ミスが増えたなど、体調と仕事に出ていること
  • 希望:席や担当の変更、相手との接触を減らす、事実確認をしてほしい、など

1枚目の一番上に「要約」を3行で置くと、忙しい担当者でも状況をつかめます。たとえば「2026年1月から現在まで、直属の課長から、会議中に人格を否定する発言を週2〜3回受けている。4月から出社前の動悸が続いている。席の変更と事実確認を希望する」という具合です。

書き方の実例:時系列の出来事

1行に1つの出来事を入れます。形式は決まっていないので、手帳でもスマホのメモでも構いません。

  • 3月4日(火)10時ごろ、会議室。参加者は課長、Bさん、Cさん、私。課長が「こんな資料も作れないなら会社に来なくていい」と発言。私はその場で「修正します」とだけ答えた。夜は2時間ほどしか眠れなかった。
  • 3月7日(金)17時ごろ、自席。他の人の前で「前にも言ったよな。何回同じことを言わせるんだ」と大きな声で言われた。周囲にDさんがいた。
  • 3月11日(火)朝、メール。私だけを宛先から外した会議案内が届いた。同じ会議にチームのほかの人は呼ばれている。

日付が思い出せないときは「3月上旬の月曜の午前」で十分です。曖昧な項目には「日付は記憶による」と添えておくと、あとで正確さを問われても説明がつきます。

相手の言葉は、言われたとおりに書きます。きつい言い方をやわらげて書くと、何があったのかが伝わりません。「ひどい暴言」「許せない」のような評価の言葉は、シートには入れず、面談で口頭で伝えます。

今夜30分で下書きを作る手順

  1. タイマーを15分にセットし、思い出せる出来事を順番を気にせず全部書く。文章になっていなくてよい
  2. 日付がわかるものに印をつける。メールの送信日時、スマホの履歴、カレンダーの予定が手がかりになる
  3. 残りの15分で、古い順に並べ替える。同じ日に複数あれば1行ずつに分ける
  4. 相手の言葉に「」をつけ、自分の感想を書いた部分は別の行に分ける

この段階で完成させようとしないでください。翌朝に読み返すと、抜けや重複が見つかります。

面談で渡すときの言い方

面談の前に、担当者へメールで一言入れておくと、時間を確保してもらえます。

「職場での言動について相談したく、状況をまとめた資料を持参します。30分ほどお時間をいただけますか。内容は、関係者以外に共有しないでください」

当日は2部印刷して、1部を相手に渡し、1部を手元に置きます。口頭では次の順で話すと、まとまります。

  1. 要約の3行を読む
  2. 出来事の一覧から、いちばんひどかった日を2〜3件だけ話す
  3. 体調と仕事への影響を伝える
  4. 希望を伝え、「いつまでに回答をいただけますか」と期限を聞く

面談後は、その日に話した相手、聞いた回答、約束された期限を、シートの末尾に追記します。会社の対応が止まったとき、その記録が次の相談先(労働局の総合労働相談コーナーなど)で説明の材料になります。

そのまま使えるシートのひな形

ワードやメモアプリに貼って、かっこの中だけ書き換えれば使えます。

  • 作成日:(2026年〇月〇日) 作成者:(氏名・部署)
  • 相手:(氏名・役職)。私との関係は(直属の上司/別部署の先輩)
  • 要約:(いつから、誰から、どんな言動を、どのくらいの頻度で受けているか。体調への影響。希望)
  • 出来事:(日付・時間帯・場所/相手の言動を原文で/その場にいた人/私の対応/その日の体調)を、古い順に1件ずつ
  • 影響:(睡眠、食欲、出社前の症状、通院の有無と開始時期、業務で支障が出ていること)
  • 希望:(席・担当・報告先の変更、事実確認、再発防止、相談した事実の秘密保持)
  • 相談の記録:(相談した日、相手、回答、約束された期限)

「影響」の欄は、通院を始めた時期と出来事を並べてみると、関係が見えやすくなります。たとえば「3月4日に人格否定の発言を受けた。3月下旬から寝つけず、4月8日に心療内科を受診した」と書けば、時期の重なりが読み手に伝わります。因果関係を断定する必要はなく、並べて書くだけで構いません。

場面別:シートの作り方の迷いどころ

証拠が何もないとき

録音もメールも手元にない場合でも、記憶を日付つきで書いた記録は作れます。書いた日と、記憶に基づく記録であることを明記してください。以後は、起きたその日のうちにメモを取る習慣をつけます。メモは、スマホのメモアプリでも、日付が自動で付くので役に立ちます。

被害が何年も続いているとき

全部を網羅しようとすると止まります。直近3か月を日付つきで細かく書き、それ以前は「2024年ごろから、同様の言動が月に数回あった」のようにまとめて書く方法が現実的です。古い出来事のうち、はっきり覚えている2〜3件だけ別行で足します。

相手が複数いるとき

人ごとにシートを分けると、読み手が混乱しません。共通して起きていること(無視、仕事の取り上げなど)は、要約に1行で触れておきます。

セクハラが含まれるとき

思い出すこと自体がつらい場合は、全部を自分で書こうとしないでください。出来事の日付と場所、相手、ひとことでの内容だけを残し、詳しい説明は面談の場や、相談員との対話に回してかまいません。書くことで体調が悪化するようなら、いったん手を止めます。

会社に出す前に、まず外で相談したいとき

シートは会社に提出しなくても使えます。労働局の総合労働相談コーナーや弁護士に最初に見せて、「会社に出すなら、どこを直すべきか」を聞く使い方もあります。会社に出す版と、自分用の詳細版を2種類持っておくと安心です。

ファイルの保管と、扱ううえでの注意

シートや証拠のコピーは、会社のパソコンや社内サーバーに置かないでください。私物のスマホか、会社と関係のないクラウドや外付けの媒体に保存します。会社の端末は、異動や退職の際に回収されたり、中身を確認されたりする可能性があるためです。

会社の機密情報(顧客の名前、社外秘の資料)を、証拠としてコピーして持ち出すことには注意が必要です。持ち出してよい範囲は会社の規定や状況によって変わります。迷うときは、弁護士や労働局の窓口に先に聞いてから動いてください。

提出したあとで内容を直したくなったら、上書きせずに「改訂版」として日付つきで別ファイルにします。何をいつ会社に渡したのかが、後から自分でもわかるようにしておくためです。

1週間でシートを仕上げる日程の例

毎日30分ずつ、1週間で完成させる進め方です。月曜に始める想定で書きます。

  • 月曜:タイマー15分で出来事を全部書き出す。夜に、日付を確かめられる手がかり(メール、カレンダー)を集める
  • 火曜:古い順に並べ替え、相手の言葉に「」をつける。感想の部分は別の行に分ける
  • 水曜:「影響」の欄を書く。通院の記録や、睡眠・食欲の変化を、日付と一緒に並べる
  • 木曜:「希望」の欄と、3行の要約を書く。希望は2つまでに絞る
  • 金曜:声に出して読む。つかえた箇所は、言い回しが長いか、事実があいまいな箇所なので直す
  • 土曜か日曜:信頼できる人に読んでもらうか、一晩置いてから読み返す。印刷して2部にする
  • 翌週の月曜:担当者にメールで面談を申し込む

一日で仕上げようとして夜通し書くと、翌日の仕事に響きます。体調が悪い週は、日程を1週間ずらしてかまいません。

面談で聞かれやすい質問と、答えの準備

シートを渡すと、担当者は次のようなことを聞いてきます。答えをシートの余白にメモしておくと、慌てません。

  • 「いつごろから続いていますか」:最初に覚えている日付。わからなければ「〇月ごろ」
  • 「他に同じ被害を受けている人はいますか」:知っている範囲の事実だけ答える。想像で名前を挙げない
  • 「相手に直接、やめてほしいと伝えましたか」:伝えた日と言い方を答える。伝えていなくても、責められる理由にはならない
  • 「どうなってほしいですか」:シートの「希望」の欄を読む。決まっていなければ「まず事実確認をお願いしたい」で構わない
  • 「ほかに相談した人はいますか」:家族や友人、外部の窓口に話した事実があれば、正直に答える

聞かれて答えられない質問があったら、「確認して後日メールでお伝えします」と返してください。その場で推測で答えると、後で食い違いが出るおそれがあります。

担当者の発言も、面談中に自分でメモします。難しければ、面談の直後に思い出して書き出してください。「その場で調査を始めると言われた」「上司には伝えないと言われた」のような発言は、後で意味を持つことがあります。

出来事の欄を書く前の、思い出し方のコツ

日付が出てこないときは、出来事から逆算します。「あのプロジェクトの締め切りの週だった」「年度末の繁忙期だった」「社員旅行の翌日だった」など、会社の行事や仕事の節目を手がかりにすると、おおよその時期が絞れます。

スマホの写真フォルダやカレンダー、送受信したチャットの履歴も、日付を確認する材料になります。残業した夜の退勤時刻(交通系ICの履歴など)が、その日の出来事を思い出すきっかけになることもあります。

同じパターンが繰り返されているなら、1件ずつ書く代わりに「週に2〜3回、朝礼のあとに」のように頻度で書き、典型的な日を3件だけ詳しく書く方法があります。件数が多い被害ほど、全部を1行ずつ並べると読み手が疲れてしまうためです。

書いているうちに気分が悪くなったら、無理に続けないでください。10分書いて10分休む、というように区切ると、続けやすくなります。

記入例:1件分を最後まで書いてみる

実際の1件を、項目ごとに分けると次のようになります。

  • 日時:2026年3月4日(火)10時〜10時20分ごろ
  • 場所:第2会議室
  • 相手:課長(直属の上司)
  • 居合わせた人:Bさん、Cさん(同じ課の同僚)
  • 言動:私が出した資料に対して、「こんな資料も作れないなら会社に来なくていい」「いつまで新人気分なんだ」と、机をたたきながら発言した。約20分間続いた
  • 私の対応:「修正します」と答えた。反論はしなかった
  • その後:昼食が取れなかった。夜は2時間ほどしか眠れず、翌朝は動悸がした
  • メモ:資料の誤りは1か所あった。誤りの指摘そのものは正当だと考えているが、人格を否定する発言と、机をたたく行為は、必要な指導の範囲を超えていると感じた

最後の「メモ」の行のように、自分にも直すべき点があったことを正直に書いておくと、読み手は全体を落ち着いて受け取れます。

このように、時刻、場所、居合わせた人、実際の言葉、行動、その後の体調を1件にまとめて書いておけば、あとから見た人が状況を再現できます。同じ形式で、すべての出来事を書いてください。

休職や退職を考えるときにも使える

まとめシートは、会社に相談するためだけの紙ではありません。休職の診断書を医師に依頼するときは、出来事の一覧と影響の欄を見せると、診察室で話す時間が短くて済みます。医師は、症状がいつ始まり、何と重なっているかを聞き取りやすくなります。

退職を考えて弁護士や公的な窓口に相談するときも、同じシートが土台になります。相談の時間は30分や1時間と区切られていることが多く、最初の10分を状況の説明に使うか、助言に使うかで、得られる内容が変わるためです。退職時の手続きや給付の扱いは、会社の規定や状況によって違うので、シートを見せながら、ハローワークや専門家に確認してください。

転職先の面接で、前の職場について聞かれたときの整理にも役立ちます。事実と感想を分けて書いた経験があれば、「前職の退職理由は、業務上の指導の範囲を超えた言動が続いたことです。会社にも相談しました」と、落ち着いて短く話せます。

シートは更新しながら、最後まで同じファイルで持ち続けてください。バックアップは、私物のスマホとクラウドの2か所に取っておくと、なくなる心配がありません。

提出前の最終チェック

  • 最初のページに、作成日、氏名、相手の氏名と役職が入っている
  • 3行の要約を読めば、誰から何をされ、どうしてほしいかがわかる
  • 出来事が古い順に並び、1件ごとに日付と場所がある
  • 相手の言葉が、言われたとおりの原文で書かれている
  • 「ひどい」「最低」などの評価の言葉が、事実の言葉に置き換わっている
  • 自分に非があった点も、短く触れてある
  • 体調の変化と通院の時期が、日付つきで書かれている
  • 希望が2つ以内に絞られている
  • 2部印刷し、手元用にはメモの余白を残してある
  • データのバックアップを、会社の外に取ってある

10項目のうち、6つ以上そろっていれば、面談に持っていける状態です。残りは、面談のあとで足せます。完成度を理由に提出を先延ばしにするより、早く動いて、あとから改訂版を出すほうが、心身の負担は小さく済みます。

提出するときは、「メールに添付する」「手渡しする」のどちらがよいかも、担当者に確認してください。添付する場合、ファイルにパスワードを付けるかどうかも、会社の運用に合わせます。パスワードは、別のメールか口頭で伝えます。

やりがちな失敗と直し方

  • 感情の言葉が多い:「ひどい」「最低」を「大声で」「3回」「他の人の前で」のように、事実の言葉に置き換える
  • 自分のミスを隠す:叱責のきっかけになったミスも書く。ミスは認めたうえで、叱り方が人格否定に及んでいた、と分けて書くほうが信頼されやすい
  • 長すぎる:A4で3枚を超えたら、要約と代表的な出来事だけを本編にして、残りは「別紙」にする
  • 法律用語で分類する:「パワハラ6類型の精神的な攻撃」のような判断は書かない。該当するかどうかは、会社や専門家が確認することです

診断書や通院の領収書、送ったメール、同僚とのやり取りは、シートとは別に封筒かフォルダに入れておき、聞かれたときに出せるようにします。

実際にあったケース:未払い給与の状況を整理して相談したケース

創業3年目のスタートアップで働いていた30代の方は、給与の支払いが遅れていました。退職を申し出ると「開発が止まったら会社が潰れる。損害賠償を請求する」と言われたそうです。

本人は、給与の遅れた日付や金額、やり取りを時系列でまとめて弁護士に相談しました。弁護士が未払い給与を請求し、損害賠償の話には根拠がないと伝えたところ、退職の手続きが進んだとされています。

ここから学べること:相談前にまとめシートを作っておくと、短い時間でも状況を正確に伝えられます。金額と日付は、数字のまま書き出しておきましょう。

一人で抱えきれないときは、弁護士への無料相談も選択肢のひとつです。事例はあくまで一例で、結果は契約内容や証拠の状況によって変わります。同じ結果を保証するものではありません。

まとめ

  • シートは4項目(基本情報、出来事の一覧、影響、希望)で、A4の1〜2枚にする
  • 先頭に3行の要約を置き、面談ではその3行から話し始める
  • 相手の言葉は原文のまま、自分の感想は別の行に分ける
  • 日付が曖昧なものは「記憶による」と添えて載せる
  • 2部印刷し、面談後の回答と期限もその日のうちに追記する

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