退職後の国民年金はいつまでに何をする?14日以内の手続きと、払えないときの免除を場面別Q&Aで整理

※本記事にはプロモーション(広告)が含まれます。

退職して会社の厚生年金から外れると、20歳以上60歳未満の人は国民年金に自分で加入し直す必要があります。手続きの目安は退職後14日以内、窓口は住んでいる市区町村の国民年金の担当課(または年金事務所)です。次の仕事がすぐ決まっていて、退職日の翌日から新しい会社の厚生年金に入るなら、この手続きは不要で、勤務先が行います。

保険料の支払いが厳しいときは、離職票などで退職の事実を示せば、前年の所得にかかわらず免除や納付猶予を申請できる特例があります。「払えないから放置する」より、「払えないと窓口に申告する」ほうが、将来の年金への影響をずっと小さくできます。

ハラスメントで心身がすり減ったまま辞めた人ほど、退職後の役所の手続きは後回しになりがちです。月曜の朝に出社しなくてよくなっても、郵便受けに届いた封筒を開けられない日が続くことはあります。この記事では、迷いやすい場面を5つに分けて、それぞれ何をすればいいかを書きます。

先に押さえる全体像:退職後に何が変わるのか

会社員は、厚生年金に加入していると同時に、国民年金(基礎年金)にも加入している扱いです。保険料は給与から天引きされていたので、意識しなくても払い続けられていました。

退職すると、この天引きが止まります。そのままでは「どの年金にも入っていない期間」ができてしまうため、次のどれかに当てはまる形にする必要があります。

  • 次の会社に入社して、厚生年金に加入する(手続きは勤務先)
  • 家族の扶養に入り、国民年金の第3号被保険者になる(手続きは配偶者の勤務先経由)
  • 自分で国民年金の第1号被保険者になる(手続きは自分で、市区町村の窓口)

このうち、自分で動かないと何も起きないのが3つ目です。会社が代わりに手続きしてくれることはありません。離職票が届くのを待っているうちに日が過ぎる、というのがよくあるパターンです。離職票がなかなか届かないときの動き方は、離職票が届かないときの動き方|退職後に会社から何も来ない場合、今日から1か月の手順と文例にまとめています。

※手続きの期限や必要書類は、市区町村によって案内が少し異なります。この記事では、日本年金機構と、実際に開いて確認した自治体(東京都江戸川区)の案内を基にしています。お住まいの市区町村の案内も確認してください。

場面1:退職してすぐ次の仕事が決まっていない

Q. 何を、いつまでにすればいい?

退職後14日以内に、住んでいる市区町村の国民年金の窓口で、厚生年金から国民年金への切り替えを届け出ます。確認した自治体の案内でも、退職後14日以内に手続きするよう示されていました。

Q. 何を持っていけばいい?

江戸川区の案内では、必要なものは次の3種類です。

  • 退職日がわかる書類:雇用保険被保険者離職票、社会保険資格喪失証明書、退職証明書など
  • 基礎年金番号がわかるもの:年金手帳、基礎年金番号通知書など
  • 本人確認書類:マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど

注意したいのは、同じ案内に「雇用保険被保険者証では手続きできません」とあることです。給与明細と一緒にしまってある、あの小さな紙では退職日が証明できない、ということです。

Q. 離職票がまだ届かない。待つしかない?

退職日がわかる書類は離職票だけではありません。社会保険資格喪失証明書や退職証明書でも使えるとされています。ただし、会社が出し渋っているケースでは、これらも出てこないことがあります。そのときは、窓口でその事情を伝えて、代わりに何を持ってくればいいか相談してください。窓口で「会社が書類を出してくれない」と話しても、責められることはありません。

退職証明書を会社が出してくれないときの請求の仕方は、退職証明書を会社が出してくれないとき|請求でやりがちな3つの失敗と、メール文例が参考になります。

Q. 窓口に行く元気がない

確認した自治体では、郵送での手続きも可能で、担当課に連絡すると書類が後日郵送されるとのことでした。電子申請に対応している場合もあります。体調が悪い日は無理に出向かず、まず電話で「郵送でできるか」を聞くだけでも一歩になります。家族が代理で行く場合は、委任状と窓口に来た人の本人確認書類が必要になるのが一般的です。

場面2:配偶者を扶養していた/配偶者の扶養に入りたい

Q. 自分が退職すると、扶養している配偶者はどうなる?

自分の扶養に入っていた60歳未満の配偶者(第3号被保険者)は、あなたが厚生年金から外れると、同じタイミングで国民年金の第1号被保険者への切り替えが必要になります。江戸川区の案内でも、扶養している60歳未満の配偶者も同時に加入の手続きが必要と書かれていました。

見落としやすいのはここです。自分の分だけ手続きして、配偶者の分を忘れる。あるいは、配偶者は「自分は何もしなくていい」と思っている。退職の日が決まったら、その日のうちに配偶者へ「あなたの年金の切り替えも必要になる」と伝えておくと、行き違いを防げます。

Q. 逆に、配偶者の扶養に入ることはできる?

配偶者が会社員で、収入などの条件を満たせば、配偶者の勤務先を通じて扶養の手続きをする方法があります。この場合、国民年金の第3号被保険者になり、自分で保険料を払う必要はなくなります。ただし、扶養に入れるかどうかの条件は配偶者の加入先(健康保険組合など)の基準で決まるため、この記事では判断できません。配偶者の勤務先の担当者に、条件を直接確認してください。

年金と同時に、健康保険をどうするかも決める必要があります。選び方は退職後の健康保険はどれを選ぶ?任意継続・国民健康保険・家族の扶養を、場面別Q&Aで整理で整理しています。国民年金と健康保険は別の手続きなので、片方だけで終わらせないようにしてください。

場面3:保険料が払えない。収入がない

Q. 払えないとき、放置するとどうなる?

未納のまま過ごすと、将来の年金額が減るだけでなく、病気やけがで障害が残ったときの障害年金を受け取る条件にも影響する可能性があります。具体的な受給要件は個別に異なるため、気になる場合は年金事務所で確認してください。ここで言えるのは、「払えない」と窓口に伝えるだけで選べる道があるということです。

Q. 退職を理由にした免除の特例があると聞いた

日本年金機構の案内によると、失業や倒産、事業の廃止などの事実が確認できたときは、前年の所得にかかわらず、国民年金保険料の免除や納付猶予を申請できる特例があります。

元雇用保険の加入者の場合、確認の書類として次のいずれかのコピーが挙げられています。

  • 雇用保険被保険者離職票
  • 雇用保険受給資格者証
  • 雇用保険受給資格通知

申請先は、市区町村の国民年金の窓口か、最寄りの年金事務所です。郵送や電子申請も案内されています。

Q. 免除を受けたら、一生その分は年金が減る?

案内では、免除や納付猶予を受けた期間の保険料は、後から納めて(追納)、基礎年金を満額に近づけることができるとされています。追納できる期間は原則10年以内です。収入が戻ってから埋め合わせる、という使い方ができます。

Q. 一度申請したら、ずっと続く?

失業を理由とする免除は、年度ごとに申請し直す必要があると案内されています。対象となる期間の区切りは細かい決まりがあるため、申請時に窓口で「いつまでの分が対象で、次はいつ手続きが必要か」を必ず聞いておくと安心です。

場面4:ハラスメントで退職して、書類の受け取りがつらい

加害者のいる会社から届く封筒を見るだけで動悸がする。そういう状況で、離職票や資格喪失証明書の受け取りを自力でこなすのは、想像以上に消耗します。

こういうときは、会社に出す連絡を短くしておくと負担が減ります。たとえば、人事や総務の窓口に、次のようなメールを1通だけ送る形です。

「お疲れさまです。〇月〇日付で退職いたしました〇〇です。国民年金の切り替え手続きのため、退職日がわかる書類(社会保険資格喪失証明書、または離職票)を、〇月〇日までに下記の住所へ郵送していただけますでしょうか。ご多忙のところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。」

この文面は、感情や経緯に一切触れず、「何を・いつまでに・どこへ」だけを書いています。やり取りが増えるほど消耗するので、1通で用件が済む形にするのが狙いです。返事が来なければ、日付を入れて同じ文面で再送し、送信履歴を残してください。

ハラスメントを理由に辞める場合、離職票の「離職理由」の書かれ方も、あとの手続きに影響することがあります。この点はハラスメントで辞めたら会社都合になる?離職票の「自己都合」で失敗しない3つの注意点で詳しく書いています。

書類が出ない、連絡すると嫌がらせが再開する、といった状況なら、一人で抱えない選択肢もあります。弁護士への無料相談では、会社との書類のやり取りをどう進めるかについても相談できます。

場面5:すぐ再就職できそう、または決まっている

Q. 退職日の翌日から次の会社で働くなら?

退職日の翌日から間を空けずに新しい会社の厚生年金に入る場合は、国民年金への切り替えは不要です。入社後の手続きは新しい勤務先が行うので、前の会社の離職票などを役所に持っていく必要もありません(自治体の案内でも、間を空けずに新しい職場の厚生年金に加入する場合は勤務先で手続きをするとされています)。

Q. 数週間〜数か月、空く場合は?

空いた期間は、その間だけ国民年金の第1号被保険者になります。入社日が決まった時点で、窓口に「〇月〇日から新しい会社の厚生年金に入る」と伝えれば、手続きの案内がもらえます。次の入社日が確定していなくても、まず14日以内に切り替えを済ませておくのが無難です。

Q. 14日を過ぎてしまった

期限を過ぎたからといって、手続きができなくなるわけではありません。気づいた時点で、すぐ窓口に行ってください。ただし、遅れるほど未納の期間が長くなり、あとでまとめて保険料の請求が来たり、請求書を見て焦ったりする原因になります。「過ぎてしまったから、もう行きにくい」と感じるなら、その気持ちが一番のリスクです。まず電話で「退職から14日を過ぎているが、手続きできるか」と聞くところから始めてください。

やりがちな3つの注意点

  1. 雇用保険被保険者証で手続きしようとする。退職日を確認できないため、窓口で受け付けてもらえません。離職票、社会保険資格喪失証明書、退職証明書のいずれかを用意します。
  2. 自分の分だけ手続きして、扶養していた配偶者の分を忘れる。配偶者本人も、第1号被保険者への切り替えが必要になります。窓口では、2人分をまとめて手続きできるか聞いてください。
  3. 払えないことを理由に、手続き自体をしない。加入の手続きと、保険料の免除の申請は別です。まず加入し、そのうえで免除を申請する流れにすると、未納扱いを避けられます。退職を理由とする特例は、離職票などの書類が必要なので、捨てずに保管してください。

やることチェックリスト

  • 退職日を確認する(退職日の翌日に次の会社へ入るなら、切り替えは不要)
  • 退職後14日以内を目安に、住んでいる市区町村の国民年金窓口へ行く(郵送や電子申請も可能か確認する)
  • 退職日がわかる書類を用意する(離職票、社会保険資格喪失証明書、退職証明書のいずれか)
  • 基礎年金番号がわかるものと、本人確認書類を用意する
  • 扶養していた60歳未満の配偶者がいれば、同時に切り替えを済ませる
  • 保険料の支払いが難しければ、離職票などを持って免除・納付猶予の特例を申請する
  • 国民健康保険や任意継続など、健康保険の手続きも別に進める
  • 書類が会社から届かないときは、日付入りのメールを送り、送信履歴を保管する

窓口で聞かれやすいことと、答え方のメモ

初めての手続きは、何を聞かれるか分からないだけで足が重くなります。窓口で確認されやすいのは、次のような点です。事前にスマートフォンのメモへ書いておくと、その場で慌てずに済みます。

  • 退職した日(離職票や資格喪失証明書に書かれている日付)
  • 次の就職先が決まっているか、決まっているなら入社予定日
  • 扶養している配偶者がいるか
  • 保険料の納付方法(口座振替、納付書、クレジットカード、スマートフォン決済など、市区町村や日本年金機構の案内で選べるもの)
  • 保険料の支払いが難しいか。難しい場合は、免除や納付猶予の申請もその場でしたいか

免除を申請するなら、「退職したので、失業等による特例の免除を申請したいです。離職票を持ってきました」と最初に伝えると、話が早く進みます。離職票がまだ手元にないときは、「離職票は会社に請求中です。ほかに使える書類はありますか」と聞いてください。

窓口の人は、手続きのやり方を案内するのが仕事です。事情を細かく説明しなくても構いません。ハラスメントで辞めたことや、会社と揉めていることを話す必要はなく、「退職日がわかる書類が、まだ会社から届いていません」とだけ伝えれば足ります。

もうひとつ、手続きが終わったら、受け取った書類や納付書、申請の控えは1つのクリアファイルにまとめて保管してください。免除を受けた場合は、あとから追納を考えるときや、年度が替わって再申請するときに、その控えが手がかりになります。写真を撮ってスマートフォンにも残しておくと、紛失しても慌てません。

窓口に行く前の晩に、持ち物を玄関のバッグに入れておくのもおすすめです。朝になって「離職票はどこだっけ」と探し始めると、それだけで出かける気力が尽きてしまう日があります。前の晩のうちに、離職票、基礎年金番号がわかるもの、本人確認書類を1つの封筒に入れ、封筒の表に「年金・14日以内」とペンで書いておけば、当日は封筒を持って出るだけです。

電話で事前に確認するときは、「退職したので国民年金の切り替えをしたいのですが、今日行っても受け付けてもらえますか。持ち物はこの3つで足りますか」と聞くと、必要な情報が一度で揃います。通話中にメモを取り、日付と担当課の名前も書き留めておくと、後で行き違いがあったときに役立ちます。

まとめ

退職後の国民年金は、退職後14日以内に、市区町村の窓口で切り替えるのが基本です。必要なのは、退職日がわかる書類(離職票など)、基礎年金番号がわかるもの、本人確認書類の3点で、雇用保険被保険者証だけでは手続きできません。

保険料が払えないときは、失業を理由とした免除・納付猶予の特例を申請できます。申請しない未納と、申請したうえでの免除では、扱いが大きく違います。免除を受けた期間は、10年以内なら追納もできます。

今日できることは1つだけです。退職日がわかる書類がどこにあるかを確認して、なければ、会社に1通メールを送ってください。それが済めば、窓口の予約か電話に進めます。

書類が出ない、連絡を取るたびにしんどい、という状況が続くなら、一人で抱えきれないときの選択肢として、弁護士への無料相談もあります。結果は契約内容や状況で変わりますが、会社とのやり取りを第三者に任せられるだけで、退職後の手続きに集中できる人もいます。

参考(実際に開いて確認した公的ページ):日本年金機構:失業等による特例の免除・納付猶予/江戸川区:退職したときの国民年金の手続き