
会社に就職したけれど、どうしても合わない。試用期間で退職しようと思っているんだけど、やっぱり転職では不利になるのかな? 不利をひっくり返す方法ってないんだろうか。やっぱり、試用期間での退職を隠して転職活動したほうがいいのかな?
試用期間での退職は、転職活動では不利に働くことが多いです。かといって、それを隠し通すというのはなかなか難しいこと。いつバレるかわからないとビクビクしながら毎日を過ごすのは、精神衛生上良くないですよね。
筆者は、企業で人事担当をしています。人事担当から見て、試用期間での退職はどうして不利になるのか、不利をひっくり返す方法はあるのかということについて、以下、紹介します。
試用期間での退職を企業に伝えようか悩んでいる人には必見の内容です。
試用期間での退職が転職で不利だと思っている人は多い
試用期間での退職が転職で不利に働くと考えている人は、あなただけではありません。同様に考えている人たちの声を、Twitterから引用しました。
短期間で辞めたりを繰り返すと履歴書大変な事になり面接で不利になる感じがします、試用期間の3か月でぴったし会社ではなく自分の都合により退職と書けば面接でちゃんと理由を言えるのでいいのかなって感じ、一番いいのはよく調べてベストなとこに就職が一番ですけど、職場の人間関係は調べられない…
— 殺人うさぎ (@toshiaki0001) April 4, 2017
@mot_csb 試用期間で来なくなった奴はいたけど、試用期間で落とされた奴はいなかったなー。でも、試用期間で辞めた人って次の就職で不利になるし・・・
— 河合古文@エッグプラントファーマー (@kobun11g) January 4, 2016
そもそも試用期間は残業なし、試用期間終わったらサービス平均80なのに給料同じって完全に終わってると思うんだよね。
80時間なら、大体10万上くらいはもらえると思うんだと思うとやっぱり続けようとはひとつも思わなくなったね。
一年未満での退職は不利っていうけど体壊してまでする生活— アカウント停止 (@setuna_reward32) March 1, 2015
試用期間で辞めたら転職で不利にならないという風潮にならないかな?
お試し期間だからそこでのミスマッチは許して欲しい。— Ryo1990 (@Ryo19908) September 25, 2019
試用期間中の会社都合退職って労働者側不利そうだなーやだなー。以前うちから抜けた人らの会社の門でも叩いてみるかなー *Tw*
— マツダ (@matsuda0614) April 8, 2010
企業で人事担当をしている筆者から言わせてもらえば、これらTwitterでの声はおおむね正しいです。企業が試用期間での退職をネガティブに考える理由を見てみましょう。
試用期間での退職は転職に不利!その理由は?
試用期間での退職が転職で不利になる理由は、主に次の2点です。
- 採用しても長く続かないと思われてしまう
- 能力不足で本採用の見込みが薄かったからと思われてしまう
簡単に説明しますね。
①採用しても長く続かないと思われてしまう
試用期間で退職したという過去がある場合、「うちの会社でもすぐに辞めてしまうのではないか」と企業側は警戒します。
企業は、人材の募集・採用に関して多大な費用と労力を掛けています。採用後には教育・研修も行います。よって、早く辞められては困るのです。
「だったら試用期間なんて最初から設けなければいいじゃないか」と憤る人もいるでしょう。
たしかにそうですよね。企業側は試用期間を「企業側が人材を見極めるための期間」と考えていますが、「人材が企業側を見極める期間」でもあると考えていない場合が多いのです。不公平ですがそれが実態。文句を言っても救われないのです。
このように、試用期間で退職した人を採用したくないと考える企業は多いです。
②能力不足で本採用の見込みが薄かったからと思われてしまう
試用期間で退職した人は、能力不足で会社側から本採用を断られたのではないかと企業側に勘ぐられる可能性もあります。
表向きは試用期間での自己都合退職だとしても、実際は、試用期間中に企業から本採用しない旨をチラつかされ、心が折れて退職してしまったというケースは多いのです。
求人募集をかけている企業は優秀な人材を欲しています。能力不足で早々に他社を退職したかもしれない人を採用などしたくありません。
このように、試用期間での退職は内定を遠ざけるのです。
円満に試用期間で退職した場合も転職では不利になる?
ここまで、試用期間で退職した場合、なぜ転職で不利になるのか見てきました。では、試用期間で「円満」に退職した場合も、転職では不利になるのでしょうか。
結論から言うと、円満に退職しても不利になります。なぜなら、「試用期間で退職した」という事実がある時点で、すでに転職では不利だからです。円満であろうが問題を起こしていようが、五十歩百歩です。
筆者も面接官として選考面接を行いますが、求職者から「引継ぎをしっかりと行って円満に退職しました」と話されたところで、耳にはほとんど入ってきていません。筆者の頭の中は、「なぜ超短期感で辞めたんだろう。うちに入っても辞めないかな?」ということしかありませんから。
もっと言うと、円満に退職するのは社会人として当たり前です。それをわざわざ面接でアピールするというのは、「常識のレベルが低いんじゃ?」と面接官に疑われるかもしれませんよ。
試用期間での退職の転職不利をひっくり返すための具体策
本来不利となる試用期間での退職。これをひっくり返す具体策について、書類選考と面接選考に分けて説明します。
①書類選考対策
試用期間での退職は、履歴書に書かなければなりません。後述しますが、書かずに隠しても後々バレてしまう可能性が高いためです。
試用期間での退職を履歴書に書くことにより、書類選考を通過できる確率はどうしても下がってしまいます。しかし、その低下を最小限に留める方法があります。それは、履歴書と並ぶもう一つの応募書類である職務経歴書の作り込みです。
履歴書には、住所・年齢・連絡先・学歴・職歴といった基本的な個人情報しか載っていません。よって、企業の採用担当者によっては、履歴書はサラッと目を通すだけという人も多くいます。
一方、職務経歴書はガッツリと読み込みます。なぜなら、求職者にはどのような経歴と能力があり、採用したらどのような貢献をしてくれるのかがわかるからです。
よって、履歴書に使用期間での退職を書いたとしても、職務経歴書で経歴と能力をしっかりとアピールできれば、マイナス分はカバーできる可能性が高いです。説得力のある職務経歴書を作ることは簡単ではありませんが、ぜひ頑張りましょう。
職務経歴書の書き方についてはこちらの記事にまとめましたので、よかったら確認しておいてくださいね。
②面接選考対策
書類選考を通過した後に待っている面接選考。ここでは、試用期間での退職理由を100%質問されます。事前に回答を準備しておきましょう。
試用期間中の退職理由は、企業の採用担当者から「それなら仕方ないね」と思ってもらえるようにする必要があります。とはいえ、あまりにも退職した会社に対して文句を並べては、不満が多く他人に責任をかぶせる人間という印象を与えてしまいますので注意が必要。
選考面接で、退職理由をどのように伝えるべきかについては、こちらの記事にまとめていますので、よろしければ。
試用期間での退職は隠すと企業側にバレる?
「試用期間で退職することは転職では不利になるし、書類や面接対策も結構大変そう。だったら、いっそのこと試用期間での退職を隠してしまうというのはどうかな?」と考える人も多いです。
気持ちはわかりますが、これはおすすめしません。なぜなら、企業側にバレる可能性が高いからです。
万が一、企業にバレてしまった場合、経歴詐称ということで「採用取り消し」「懲戒解雇」「社内での信用失墜」といった悲劇が待っています。
ということで、どのようなルートで試用期間で退職したことがバレてしまうのか紹介します。
①雇用保険被保険者証でバレる
転職後、転職先企業に雇用保険被保険者証を提出します。
もし前の会社の人事・労務が、雇用保険加入手続きをしていた場合、この雇用保険被保険者証には前職の会社名と入社日が記載されています。
この雇用保険被保険者証に記載された会社名が履歴書に載っていなかった場合、経歴詐称したことがバレてしまいます。
すでに退職している場合は、手元にある雇用保険被保険者証に記載されている会社名を確認してください。在職中の場合は、雇用保険加入手続きが済んでいるかどうか、人事や労務に聞いておくといいでしょう。
ところで、会社が雇用保険加入手続きをするのは、社員の入社日の翌月10日が期限となっています。例えば、3月25日に入社した場合は、4月10日が手続きの期限ということですね。
ちあみに、筆者が勤めている企業では、雇用保険加入手続きは入社後に即完了しています。社員には入社日に雇用保険被保険者証の提出を求めており、これを回収したらすぐに手続きに入るという感じです。
②健康保険喪失証明書でバレる
転職後、転職先企業に健康保険資格喪失証明書を提出します。
前の会社の人事・労務が、社会保険(雇用保険と厚生年金保険)の加入手続きをしていた場合、健康保険創始証明書により直近の入社日と退社日がバレてしまいます。履歴書記載との相違があれば、経歴詐称が疑われてしまいます。
ちなみに、社会保険の加入手続きは入社日から5日以内と決められています。入社後即退職でもない限り、社会保険に加入している可能性は高いです。
③取引先からバレる
意外に多いのがこのケース。同業種や同職種に転職した場合、共通の取引先からバレる可能性があります。
万が一、取引先からバレたらかなり厄介です。試用期間という短期間で退職したということは、取引先にも迷惑がかかっている可能性があるため、取引先から転職先企業にネガティブな伝わり方をしかねないからです。
「○○さん、A社でもお世話になりましたよ。すぐにお辞めになられたようで、お会いしたのはご挨拶した際の1回だけでしたが」というように。怖いですね。
④無職期間の長さからバレる
試用期間で退職をしたことを隠すということは、その間、働いておらず無職だったということになります。この期間がそこそこに長いと不自然さがあり、面接官からは根掘り葉掘り質問されるでしょう。
無職期間に何をしていたのか具体的に話すことができなければ、面接での印象は悪くなります。「リフレッシュしていた(=遊んでいた)」「就職活動をしていた(=落とされまくっていた)」と見られますし、あるいは「どこかに勤めていたが短期間で辞めたのでは?」と疑われることもあります。
このように、少々長め(3ヶ月~)の試用期間での退職を隠した場合は、どう転んでもマイナス評価を受けます。素直に話すのが吉ですよ。
このように試用期間での退職は、ほぼほぼバレてしまいます。雇用保険加入手続き済みなら雇用保険被保険者証から、社会保険加入手続き済みなら健康保険喪失証明書から、同業種や同職種への転職なら取引先から、試用期間が3ヶ月以上なら無職期間の長さから…という具合に。試用期間での退職がバレづらいのは、入社初日でいきなり退職、かつ異業種・異職種への転職という場合ぐらいですね。
試用期間で退職した場合は転職エージェントの利用がおすすめ!その理由は?
試用期間で退職した場合、転職エージェントを利用することを強くおすすめします。その理由は次の3つです。
- 転職エージェントが企業側に試用期間で退職した事情を説明してくれるから
- 転職エージェントが試用期間での退職に寛容な企業を紹介してくれるから
- 試用期間で退職したことのうまい理由・言い訳をアドバイスしてくれるから
簡単に説明します。
①転職エージェントが企業側に試用期間で退職した事情を説明してくれるから
転職エージェントを使うことにより、転職エージェントを通して企業の求人案件に応募できます。求職者が企業と直接やり取りするのではなく、求職者の履歴書・職務経歴書を転職エージェントが企業に提出してくれるのです。
この際、転職エージェントは推薦状を添付します。この推薦状には、求職者の強みのアピールや、履歴書・職務経歴書では分かりづらい備考が書かれています。試用期間での退職についても、この推薦状でフォローされていることがあります。
このように、転職エージェントを通して応募することで、企業側が試用期間での退職をネガティブに考えなくなる可能性があるのです。
②転職エージェントが試用期間での退職に寛容な企業を紹介してくれるから
転職エージェントは、企業の様々なデータを持っています。その中には、試用期間での退職に厳しいのか、寛容なのかという情報も含まれます。
転職エージェントを利用することで、試用期間での退職に寛容な企業を紹介してもらうことができるため、効率良く転職活動をすることができますよ。
③試用期間で退職したことのうまい理由・言い訳をアドバイスしてくれるから
前述のとおり、試用期間での退職で不利にならないためには、書類選考対策としては職務経歴書を作り込むこと、面接選考対策では退職理由を用意することが大切です。
とはいえ、これらはそう簡単なものではありません。自力で準備するのはなかなか困難でしょう。
転職エージェントを利用すれば、内定がもらえるよう、適切なアドバイスを受けることができます。利用しない手はありません。
なお、おすすめの転職エージェントを次の記事にまとめました。年代別・年収別に分けて紹介していますので、よかったらチェックしてみてくださいね。
まとめ|試用期間での退職な転職に不利?
ここまでの内容をまとめますね。
- 試用期間での退職は退職に不利
- 円満退職でも試用期間での退職で不利になる
- 履歴書に書かないなど隠そうとしてもバレやすい
- バレた場合は不採用になったり会社に居づらくなったりする
- 転職エージェントにサポートしてもらえば大丈夫
試用期間中での退職は隠さずに、転職エージェントを利用して正々堂々と内定を勝ち取りましょう。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。また別の記事でお会いしましょう。