
退職届を会社に出してしまったけど、転職するはずの会社から内定取消の知らせが来た。このままだと無職になってしまう。退職届を撤回できないだろうか。撤回して会社に戻れたとしても、ずっと気まずい状態なんだろうか。
会社に対して退職を申し出た後に、何らかの理由で退職を撤回したいということもあるでしょう。この記事では、どのようなケースであれば退職の撤回ができるのかを解説。さらに、撤回後の気まずい状況を解消するための方法も紹介しています。
すでに退職を申し出たけれど撤回をしたいと思っている方、これから会社に退職を申し出ようと考えている方に参考になると思います。
退職の撤回をした人たちの声
会社に退職の意志を伝えた後に、退職の撤回をした人たちはいます。彼らの声をTwitterから集めました。
とりええずGW明けは退職希望を撤回するために部長にお時間をいただくところから始まります。、。。。
— ちゃる (@215emily_) May 4, 2020
退職届なら任せて()
何なら退職届出した1ヶ月後の最終出社日3日前に退職撤回したことすらある()
— 田中ミスティ@Vツイッタラー (@mistycar11) May 10, 2020
年度末になると退職する気もないくせに辞表を提出してすぐに撤回するというムーブを毎年する情緒不安定なおっさんが職場にいたんだけど、ある年の部長がキレて受け取った後に迅速に手続きして退職させちゃったのめっちゃ面白かったな
— tkq (@tkq12) March 13, 2020
今月末で退職予定の生活相談員。
昨日付けで正式に退職願を撤回。
まだうちに居座るそうです。
今年の8月に入職してもう何度目の退職撤回になるのやら…。
本社も次はクビと言ってたけど、十分甘過ぎな気がする。
なんか、ムカつく(笑)
— 山ちゃん (@yamachan1616) December 24, 2019
会社に最後の悪あがき。まさかの退職撤回要望を言ってみた。もちろん直属の上司だから、人事部に直接行ったわけではないが。もう退職辞令は正式に公表されているので、絶対に取り消しは不可なのだが、それを上司に言ってしまうあたり俺は変人やな。日本社会では生きていけんな。
— ソイ (@netekara) August 15, 2019
退職撤回の彼は結局転勤することに。東京にいたいという気持ちと、転職後の生活に対する不安の狭間で揺れに揺れ、日によって「辞める」と言ったり「辞めない」と言ったり。毎日言うことが変わってたんだとか。減給なり何らかの処分はあると思うけど、総務が思いの外優しいな。
— hitomi (@inimi_s) April 22, 2019
このように、退職の撤回ができる場合があります。以下、自ら申し出た退職の撤回はどのような場合に可能なのか解説します。
自ら申し出た退職撤回は可能?
自ら退職を申し出る行為は、「退職届の提出」「退職願の提出」「口頭での退職の意志表示」の3種類があります。それぞれについて、退職の撤回が可能なのか解説します。
退職届を提出した場合
退職届を出すということは、労働者側からの一方的な辞職の意思表示ということです。退職届が会社に到達した時点で労働者の退職が確定します。会社が承諾する云々の話ではありません。
したがって、退職届を上司に提出したり、退職届を郵送して会社に配達されたりしたら、労働者側から退職の撤回をするということはできません。
なお、退職届提出後に労働者の退職撤回が認められないというのは、会社側の保護のためです。退職届を受け取った会社は通常、退職が確定した労働者の退職手続きや退職後の配置転換など、様々な準備・対応をしているからです。
したがって、労働者側からは退職撤回ができない退職届ですが、会社側が退職撤回を認めるか否かは会社側の自由です。退職届を提出してしまったけれど、どうしても退職を撤回したいという場合は、ダメ元で撤回を申し出てみるということもアリです。
退職願を提出した場合
退職願を出すということは、労働者が会社に対して退職をしたい旨、つまり合意退職のお伺いを立てるということです。よって会社は、労働者から出された退職願を拒否することもできます。
会社側が退職願を承諾すると、退職の効力が発生します。つまり、会社が退職願を承諾する前であれば労働者からの退職撤回は可能、承諾後であれば撤回は不可能ということになります。
会社側が労働者から提出された退職願を承諾するのにどれほどの時間がかかるかはわかりません。早い会社であれば即時、遅い会社であれば数週間かかることもあります。退職を撤回したいと考えたら、すぐに撤回の意思を伝えたほうがいいでしょう。
ところで、会社側から退職の承諾を受けた後でも、労働者側から撤回できる可能性がないわけではありません。ポイントは会社側の承諾がどのようにされたのかということ。口頭なのか文書なのかということです。
会社側から口頭で「あなたの退職を認めます」と承諾された場合は、録音などがない限り証明するものはありません。
この場合、「確かに退職願は提出したけれど、退職を承諾したという通知は受けていない。だから退職を撤回する」と言ってみる。会社が「退職は承諾済み」と言ってきても、「そんな記憶はありません。承諾したという証拠はありますか?」ととぼける。
どうしても退職を撤回したいのであれば試す価値はあります。が、会社との関係性は極めて悪くなりますからおすすめはできません。
なお、内容証明郵便で会社から退職承諾書を送られてきたのであれば、承諾した証拠が残るため、このようなおとぼけ作戦は不可です。
口頭で退職の意思表示をした場合
口頭で退職の意思表示をした場合は、前述の「退職願を提出した場合」と同じ扱いになります。つまり、会社から退職を承諾した旨の通知がある前は撤回できる、通知後は撤回できないということです。
例外的に退職撤回が認められるケース
ここまで、退職の意思表示をする「退職届」は撤回不可、退職の伺いを立てる「退職願」は会社から退職を承諾された後は撤回不可と説明しました。
しかし、例外的に退職撤回が認められるケースも存在します。それは、錯誤(勘違い)・詐欺(騙された)・強迫(脅された)といった瑕疵ある意思表示により退職を申し出た場合です。
例えば、会社側が労働者を脅して退職届を書くよう仕向けたようなケース(強迫)。これらによる退職届・退職願の提出は、民法による無効とされています。
つまり、退職を撤回するまでもなく、そもそも退職届・退職願を提出していなかったという扱いになるのです。
もしあなたが、錯誤(勘違い)・詐欺(騙された)・強迫(脅された)によって退職届・退職願を提出していた場合は、会社の人事、あるいは地域の労働局に問い合わせましょう。
会社側からの退職撤回の求めには応じるべき?
労働者が会社に対して退職届を提出することにより退職は確定しますが、会社側が慰留、つまり退職撤回を求めてくる場合があります。このような会社の求めには応じるべきなのでしょうか。
基本的には応じる必要はありません。そもそも、労働者が退職願ではなく退職届を提出するというのは、「絶対に退職する!」という確固たる意思に基づくもの。その意思の源を考えれば、退職撤回する必要性がないとわかるはずです。
一方、会社に退職のお伺いを立てる退職願を提出した場合は柔軟に対応してもいいかもしれません。退職願は退職届のように労働者からの一方的な通知ではないため、会社側の受け取り方も若干緩やかだからです。
まとめると、退職届に対する会社からの撤回の求めは拒否、退職願に対しする会社からの慰留は状況次第、というのが一般的でしょう。
退職撤回後の気まずい状況の解消法
退職を撤回すると、その後どうしても気まずい状況に陥ります。その解消法を、自ら退職を申し出た場合と、会社から慰留されて撤回した場合にわけて紹介します。
自ら申し出た退職を撤回した場合
退職届・退職願を提出した後に撤回して会社に残った場合は、どうしても気まずい状況にはなります。
会社のことを一度は見限ったのですから会社側とすれば面白くありません。また、退職に関する諸手続き等を進めていた等、手間もかけていることでしょう。「どの面下げて?」というのが会社側の本音ではないでしょうか。
この気まずい状況の解消法はただ1つ。突出した実績を挙げることです。会社が「いろいろあったけど、〇〇さんはうちには絶対に必要な人材だ」と思ってもらうようになるということです。
退職撤回からしばらくの間は、上司や同僚から白い目で見られるかもしれません。それらをはねのけて圧倒的な実績を出す。心身ともにつらいでしょうが、気まずい状況を解消するためにはやるしかありません。
なお、上司・同僚との信頼関係を再構築するということも、気まずい状況の解消法としてなくはありませんが、その程度でわだかまりが解けるとは思わないほうがいいでしょう。退職を申し出たということは、それほどまでに重いことなのです。
逆に考えると、ここまでの覚悟を持てないのであれば、自ら申し出た退職を撤回するべきではないでしょう。撤回が認められて一時的に会社に残れたとしても、苦しいだけの日々が待っているだけです。
会社側から求められて退職を撤回した場合
退職届・退職願を提出後、会社から慰留されて退職を撤回した場合も、やはり気まずい状況になります。
いくら会社が譲歩したとはいえ、一度は刀を抜いてしまっているからです。反抗的、やる気がないといった印象は、どうしても持たれてしまっているでしょう。
とはいえ、会社側から退職撤回を求められたという事実は重要です。それだけ実力を評価をされているということだからです。同僚はわかりませんが、少なくとも会社側(上司)は、気まずい状況にはしないはずです。
しかし、これは実力を評価されての会社側の妥協であることを忘れないほうが良いでしょう。退職申し出前のような仕事上のパフォーマンスが発揮されていない場合には、とても厳しい立場になることが予想されるからです。
つまり、自ら退職を申し出た場合と同様、結局は仕事で成果を挙げなければ、非常に気まずい状況の中で働き続けることになるということです。
退職撤回後の気まずさに耐えられない場合は
退職を撤回した後に気まずい状況になることは前述のとおり。これを解消する方法は、圧倒的な成果を出すということ1つだけです。
並大抵の努力では、圧倒的な成果など挙げることはできません。周囲の白い目に我慢しながら、会社に実力を認められるまで頑張り続けなければ気まずい状況は変わりません。
こういった気まずい状況に耐えられないのであれば、速やかに転職活動を開始しましょう。転職先が決まるまでの我慢と自分自身に言い聞かせて頑張るのです。
ただし、間違っても気まずい状況がつらいからといって転職先が決まる前に退職してしまうのはやめましょう。会社を辞めて無職状態になってしまうと、就職活動は非常に厳しくなるからです。
無職状態の就職活動は精神的につらいとか、金銭的につらいとか、いろいろとデメリットはあります。しかし何より大きいのは、求人募集をしている企業からの評価が下がるということです。
常識のある社会人であれば、よほどのことがない限り無職状態にはなりません。無職状態ということは、計画性がない、性格が衝動的である、ストレス耐性がない、重大な疾病がある等、求人企業からは非常にネガティブに思われてしまうのです。。
退職撤回後の気まずさに耐えられないかもしれないと少しでも感じたら、すぐに転職活動を開始することを強くおすすめします。
まとめ|退職の撤回は可能?撤回後の気まずい状況の解消法も紹介
ここまで見てきたように、退職を申し出るということは、非常に大きなことです。もしいま退職を考えているのであれば、撤回をすることが絶対にないと言い切れる場合にだけ申し出るようにしましょう。
すでに申し出た退職を撤回しようと考えているのであれば、撤回が認められて会社に残った後のことを想像しましょう。気まずい状況の中、圧倒的な成果を挙げるよう頑張れるのか、胸に手を当てて考えてみてくださいね。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。また別の記事でお会いしましょう。