近年、企業において「モラハラ」という言葉が注目を浴びています。しかし、この問題が実際にどのようなものなのか、そしてその影響はどのようなものなのか、多くの人が知らないのではないでしょうか。

本記事では、モラハラの定義や実態、そして労働問題に与える影響について解説しています。また、モラハラ被害者が法的対応を取るための方法や、企業が取るべき対策についても触れています。

この記事を読むことで、モラハラという問題について理解を深め、自らがその被害者とならないための対策や、被害を受けたときにやるべきことがわかるはずです。

モラハラとは何か?

まずはモラハラの定義や具体例を紹介します。

モラハラの定義と特徴

モラハラとは、モラル・ハラスメント(moral harassment)の略語で、心理的虐待の一形態です。加害者は被害者を長期的に精神的に苦しめたり、脅したりすることで、被害者をコントロールしようとします。

モラハラは、被害者に対する言葉や行動による攻撃、自己矛盾の利用、無視や嫌がらせなどの形で現れます。被害者は、自己肯定感や自己価値感を低下させられるだけでなく、精神的苦痛を受けることがあります。

モラハラは、職場や家庭などの様々な場面で起こる可能性があり、被害者にとって深刻な問題となります。適切な対処が必要です。

モラハラの種類とその例

モラハラの具体例としては、以下のようなものが挙げられます。

言葉での攻撃

加害者が被害者を罵倒したり、脅したりすることがあります。また、加害者は被害者を無視することで、被害者を孤立させることもあります。

行動での攻撃

加害者が被害者を無視したり、嫌がらせをすることがあります。例えば、加害者が被害者の仕事やプライベートな時間を妨害することがあります。

自己矛盾の利用

加害者が被害者を混乱させるために、自己矛盾を利用することがあります。例えば、加害者が被害者に対して「あなたは私を信頼すべきだ」と言いながら、自分が不正行為をしていることを被害者に告発されるのを恐れる様子を見せることがあります。

嘲笑や陰口

加害者が被害者を批判したり、嘲笑ったりすることがあります。また、加害者は被害者のプライバシーを侵害したり、プライベートなことを他人に話したりすることがあります。

以上のように、モラハラは被害者を精神的に苦しめるために、様々な方法を用いて現れます。被害者は、自己肯定感や自己価値感を低下させられるだけでなく、心身の健康に影響を及ぼすことがあります。

モラハラを受けた場合の心理的影響

モラハラを受けることで、被害者には深刻な心理的影響が生じることがあります。具体的には以下のようなものが挙げられます。

モラハラを受けることで、被害者の自己肯定感が低下します。加害者からの攻撃や嫌がらせを受けることで、自分自身を否定するような感情や思考が出現し、うつ病や不安症などの精神的疾患に陥ることがあります。

加害者からの攻撃や嫌がらせによって、被害者は社交不安や孤立感を抱くことがあります。人々との関係を持つことを避け、過度に内向的になることがあります。

長期間にわたってモラハラを受けることで、被害者はPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症することがあります。その場面や加害者に関するトリガーによって、不安や恐怖、思い出すことが辛い過去の出来事などが引き起こされます。

これらの心理的影響は、被害者にとって深刻な問題となります。適切なサポートや治療が必要であることがあります。被害者は自己肯定感を取り戻し、社交不安や孤立感から抜け出し、過去のトラウマを克服するために、サポートを求めることが重要です。

会社におけるモラハラの実態

続いて、会社におけるモラハラの実態を紹介します。

会社におけるモラハラの現状

会社におけるモラハラの現状は、依然として深刻な問題があると言われています。調査によると、日本の企業でモラハラを経験した人は全体の約30%にのぼるとされています。また、モラハラの加害者は上司や同僚だけでなく、顧客や取引先なども含まれることがあります。

モラハラが原因で、被害者がうつ病や不安症に陥り、長期間休職するケースもあるため、企業にとっても重要な問題となっています。一方で、モラハラが報告されないことが多く、上司や企業側が問題を放置することがあるため、社員の健康管理やモラハラ対策の重要性が増しています。

企業側は、モラハラを防止するために、従業員に対して適切な研修を行ったり、モラハラ相談窓口の設置や匿名での報告が可能なシステムを整備することが必要です。加害者に対しても適切な処置が必要であり、被害者を守るための法的措置を取ることが求められます。

モラハラを行う上司や同僚の特徴

モラハラを行う上司や同僚には、以下のような特徴があるとされています。

支配的な態度をとる

モラハラを行う上司や同僚は、支配的な態度をとり、自分が正しいという態度を強く示します。自分が上司であるという地位を利用し、相手をコントロールするような行動が見られます。

コミュニケーションが不十分

モラハラを行う上司や同僚は、コミュニケーションが不十分である傾向があります。相手の意見を聞かず、自分の意見を押し付けるような態度を取ります。

威圧的な態度をとる

モラハラを行う上司や同僚は、威圧的な態度をとることがあります。相手に対して冷たい態度をとったり、無視したり、職場内で孤立させたりすることがあります。

意図的なパワーハラスメントを行う

モラハラを行う上司や同僚は、意図的に相手を苦しめるパワーハラスメントを行うことがあります。業務上必要な情報を伝えなかったり、業務の責任を押し付けたりするなど、相手を無力化するような行動が見られます。

自己中心的な態度をとる

モラハラを行う上司や同僚は、自己中心的な態度をとることがあります。自分の利益や欲求を優先し、相手を見下すような言動が見られます。

以上のような特徴がある上司や同僚には注意が必要です。相手の行動がモラハラに該当するかどうかを判断するためには、自分が感じたことや相手の言動を客観的に見ることが大切です。

モラハラを受けやすい社員の特徴

モラハラを受けやすい社員の特徴には以下のようなものがあります。

自己肯定感が低い

自己肯定感が低い人は、自分に自信が持てず、自分を守るための防御機制が弱いため、モラハラを受けやすい傾向があります。また、自己肯定感が低いために、自分に非があると感じることが多く、相手の攻撃に耐えきれずに、自分を責めるような気持ちになってしまうこともあります。

コミュニケーションスキルが低い

コミュニケーションスキルが低い人は、相手の言葉や態度をうまく受け止めることができず、自分の気持ちをうまく表現できないため、モラハラを受けやすい傾向があります。

弱者意識がある

弱者意識が強い人は、自分が周りから見下されていると感じやすく、自分を守るための防御機制が弱いため、モラハラを受けやすい傾向があります。また、弱者意識があるため、相手の言動に過剰に反応してしまうことがあります。

無口である

無口である人は、自分の気持ちをうまく表現できず、相手とのコミュニケーションが不十分なため、モラハラを受けやすい傾向があります。

過去にトラウマを抱えている

過去にトラウマを抱えている人は、そのトラウマが再び刺激されることで、心の傷を再び負ってしまうため、モラハラを受けやすい傾向があります。

以上のように、自己肯定感が低く、コミュニケーションスキルが低い、弱者意識がある、無口である、過去にトラウマを抱えているといった特徴があると、モラハラを受けやすくなる可能性があります。

とはいえ、モラハラを行う側が100%悪いことにかわりはありません。これらの特徴は欠点ではなく個性として尊重されるべきものです。

モラハラがもたらす労働問題

モラハラはどのような労働問題を引き起こすのでしょうか。

モラハラによるストレスがもたらす健康問題

モラハラによるストレスは、身体的・精神的な健康問題を引き起こす可能性があります。具体的には、以下のような症状が現れることがあります。

心身症状

ストレスが原因で、頭痛、めまい、吐き気、胃痛、下痢などの心身症状が現れることがあります。また、不眠や睡眠障害も起こりやすくなります。

精神的な症状

モラハラによるストレスが長期間続くと、うつ病や不安障害、パニック障害などの精神的な症状が現れることがあります。さらに、自尊心や自己肯定感が低下し、自信を失ってしまうこともあります。

身体的な疾患

ストレスが原因で、高血圧、糖尿病、心臓病、脳卒中などの生活習慣病のリスクが高まることがあります。また、免疫力が低下するため、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなることもあります。

モラハラによるストレスは、身体的・精神的な健康問題を引き起こすだけでなく、職場や家庭の環境にも悪影響を与えることがあります。早期に対処することが大切です。

モラハラとパワーハラスメントとの違い

モラハラとパワーハラスメントは、共に職場や人間関係で問題とされる言動や行為の一種ですが、微妙な違いがあります。

モラハラは、精神的な苦痛を与えることが目的で、相手を傷つけることを狙って行われます。相手の自尊心や自己肯定感を低下させ、精神的な負担を与えることで、自分自身の優位性を確保しようとする傾向があります。例えば、無視したり、侮辱したり、嫌がらせをすることが挙げられます。

一方、パワーハラスメントは、権力を背景に、相手を支配・圧迫することを目的としています。権力者が部下や同僚を無理な業務や理不尽な要求を課し、それに従わせることで自分自身の利益を追求する傾向があります。例えば、業務内容や勤務時間の不当な変更を強要する、昇進や評価などの権限を濫用するなどが挙げられます。

また、モラハラは、非公式的な問題であり、表面的には何も起こっていないように見えることが多いため、訴えにくいという特徴があります。一方、パワーハラスメントは、法的にも規定があり、訴えることができる可能性があります。

以上のように、モラハラとパワーハラスメントは、それぞれ異なる特徴を持ちます。どちらも、職場で問題とされる言動や行為であることに変わりはありませんが、違いを理解することで、問題解決のための対策や対応方法を見つけることができます。

モラハラに対する法的対応

モラハラに対する法的対応の方法を具体的に紹介します。

モラハラに対する法的対応の方法

モラルハラスメント(モラハラ)は、労働者が職場で受ける精神的・心理的な被害であり、労働法に基づいて、労働者に保護されています。モラハラ被害を受けた場合、法的対応ができることがあります。以下は、モラハラ被害を受けた人が法的対応を行う方法です。

雇用主や労働組合と相談する

モラハラ被害を受けた場合、まずは雇用主や労働組合と相談しましょう。職場内での解決が図られることがあります。雇用主は、モラハラ防止のための取り組みを行うことが求められます。

労働基準監督署に相談する

労働基準監督署に相談することもできます。モラハラが職場で起こっている場合、労働基準法に違反することがあります。労働基準監督署は、適切な対応を行います。

労働審判所に申し立てる

モラハラ被害を受けた場合、労働審判所に申し立てることもできます。労働審判所は、労働者と雇用主との間のトラブルを解決する場所であり、モラハラが原因で解雇などの不当な扱いを受けた場合、労働者が勝訴することがあります。

裁判所に訴える

労働審判所での解決が不十分であれば、裁判所に訴えることもできます。裁判所での訴訟では、弁護士のサポートを受けることが望ましいです。

モラハラ被害を受けた場合、一人で悩まず、専門家の支援を受けることが大切です。また、証拠を集めることも重要であり、メールやメッセージなどの記録を残すことが望ましいです。

モラハラを訴えるための証拠の収集方法

モラハラを訴えるためには、証拠を収集することが重要です。証拠がない場合、訴えることは難しくなります。以下はモラハラを訴えるための証拠の収集方法です。

メモを取る

モラハラの具体的な行為や発言をメモに記録しておくことで、後で証拠として使用することができます。

電子メール、チャットの保存

モラハラの内容が電子メールやチャットでやりとりされている場合、それらの内容を保存しておくことができます。

証人の確保

証人を見つけて、モラハラの発言や行動を裏付けてもらうことができます。

レコーディング

モラハラの発言や行動をレコーダーなどで録音することで、後で証拠として使用することができます。

ドキュメントの保存

モラハラの内容が書かれた文書や資料を保存しておくことができます。

これらの証拠は、モラハラを受けたことを証明するために重要です。しかし、証拠を収集する際には、プライバシーや法律に配慮することが大切です。証拠収集が違法行為にならないよう、注意して行うようにしましょう。

また、訴える前には、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

モラハラ対策

モラハラ対策について、企業の取組やモラハラを受けた際の対処法をご紹介します。

モラハラを防止するための企業の取り組み

モラハラを防止するためには、企業は以下の取り組みを行うことが重要です。

まずは、組織文化を変革することが必要です。組織内でのモラハラに対するゼロトレランスを明確にし、組織メンバー全員がそれを理解するようにします。また、職場の人間関係についてのガイドラインを作成し、それを徹底的に教育することも必要です。

次に、職場でのコミュニケーションを改善することが必要です。モラハラを防ぐためには、従業員がオープンな雰囲気で話し合えるようにすることが重要です。職場での相談や報告を匿名で行えるような仕組みを整えることも有効です。

さらに、上司や管理職のトレーニングが必要です。彼らは従業員に対して模範的な行動を示すことが求められます。モラハラを防止するためには、上司や管理職がプロフェッショナルなコミュニケーションスキルを持ち、問題を早期に発見・解決するためのリーダーシップを発揮することが必要です。

最後に、従業員に対してアンケートを行い、職場環境についての意見やフィードバックを収集することが重要です。従業員が安心して働ける環境を整備するためには、彼らの声を受け止めることが必要です。

モラハラを受けた場合の対処法

モラハラを受けた場合、精神的なストレスや苦痛を伴い、対処が難しいものとなりますが、以下のような方法があります。

まずは、自分自身を守ることが大切です。自分が傷つかないように、相手に対して距離を置く、直接的な対決を避ける、無理に自分を守ろうとしないなどの方法があります。また、自分に責任がないことを自覚し、自分を責めないようにすることも大切です。

次に、信頼できる人に相談することが重要です。相談できる人がいない場合は、ホットラインやカウンセリングサービスなどの専門家に相談することができます。相談することで、自分の気持ちを整理し、助言を得ることができます。

また、証拠を集めることも必要です。モラハラを受けた場合は、その証拠を集め、記録を残すことが重要です。ノートやメールなど、相手からの攻撃的な言動を記録し、必要に応じて証拠として使用することができます。

さらに、職場の上司や人事部に相談することも有効です。モラハラは、職場で起こりやすい問題の一つです。職場の上司や人事部に相談することで、適切な対応をしてもらうことができます。

最後に、弁護士に相談することも考えられます。モラハラは法的にも問題となることがあります。弁護士に相談することで、法的に自分を守ることができます。

モラハラを受けた場合は、自分自身を守り、信頼できる人に相談することが大切です。証拠を集め、上司や人事部に相談することも重要です。そして、必要に応じて弁護士に相談することも検討しましょう。

モラハラに対するメンタルヘルスケアの重要性

モラハラを受けた人は、長期間にわたる心の傷を負う可能性があります。そのため、メンタルヘルスケアは非常に重要です。適切なケアを受けることで、自己肯定感を回復し、回復のプロセスを早めることができます。

また、メンタルヘルスケアは、将来のストレスやトラブルに対処するための強い基盤を作ることにもつながります。メンタルヘルスケアの方法には、専門家によるカウンセリング、自己療法、ストレス管理技術の習得、運動や娯楽活動などがあります。

モラハラに苦しむ人は、自分自身を守り、自分にとって良い方法でメンタルヘルスケアを実践することが重要です。

 

モラハラと社会的責任

モラハラ対策は企業の社会的責任です。簡潔にご紹介します。

企業の社会的責任とモラハラ対策

企業には、社会的責任があります。その一つが、社員の福祉と安全を確保することです。

モラハラは、社員のメンタルヘルスに大きな影響を与え、企業にとっても損失につながる可能性があります。そのため、企業はモラハラ対策を真剣に考え、取り組むことが重要です。

具体的な対策としては、モラハラに関する研修の実施、相談窓口の設置、モラハラ防止のためのルールや規則の策定などが挙げられます。また、モラハラが発生した場合は、適切な対応を行い、再発防止策を講じることも重要です。

企業は、社員のメンタルヘルスを守ることで、社員の生産性や企業の信頼性を高め、社会的責任を果たすことができます。

モラハラ被害者支援団体の活動と支援内容

モラハラ被害者支援団体は、モラハラに苦しむ人々の支援活動を行っています。具体的な支援内容としては、以下のようなものがあります。

相談窓口の提供

被害者が話を聞いてもらい、心のケアやアドバイスを受けることができる相談窓口を設置しています。電話やメールでの相談が可能な場合もあります。

モラハラに関する情報提供

モラハラに関する正しい知識を提供し、被害者が自身の状況を理解し、適切な対処方法を知ることができるようサポートしています。

カウンセリングやセミナーの実施

専門家によるカウンセリングや、モラハラに関するセミナーを実施しています。被害者が自分自身の感情や心理状態を理解し、回復するための支援を行っています。

法的なアドバイスやサポート

被害者が法的手段を取る際に必要な情報提供や、弁護士の紹介などのサポートを行っています。

モラハラ防止に向けた啓発活動

社会的な認知度の向上とともに、モラハラ防止に向けた啓発活動を行っています。被害者や加害者だけでなく、周囲の人々にも正しい知識を伝え、モラハラが起きにくい職場や社会の実現に向けて取り組んでいます。

モラハラ被害者支援団体は、被害者が自分自身を取り戻し、健康な心と生活を取り戻すことができるよう、専門的なサポートを提供しています。

まとめ

モラハラは、近年問題視されている職場における人間関係の問題の一つであり、深刻な問題となっています。

モラハラは、心理的なストレスや健康被害、業務への悪影響など、被害者に多大な影響を与えます。さらに、社会的コストも高く、企業は社会的責任を果たすためにも、積極的にモラハラ対策を行う必要があります。

モラハラ対策には、適切な教育や啓蒙活動、職場の改善や適切な処罰、社員のサポートなどが必要です。また、被害者は自己防衛のために、適切な情報収集や対処方法の確認が必要です。

モラハラは被害者だけでなく、周りの人々にも深刻な影響を与える問題であり、社会全体で取り組む必要があると言えるでしょう。

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