
30代で転職するには、無資格よりもそれなりの資格ってあったほうがよさそう。でも、苦労して資格取得しても、転職に無意味だと無駄な感じがするし。取得したら30代でも転職に有利になる資格ってどれだろう?
転職アドバイザーである私・オーミヤは、これまで多くの30代転職希望者の転職支援をしてきました。
その中で、資格を活かせた場合、資格を活かせなかった場合、資格を活かす必要がなかった場合がありました。
これらの経験をもとに、転職で有利になれる資格の見極め方や具体的な資格名を12個紹介します。
※この記事は5分ほどで読み終わることができます。5分後には、転職活動においてあなたが資格を取得するべきか否か、取得するならどの資格にすればいいのかがわかっているはずです。
そもそも資格取得で転職は有利になる?
結論から書きます。資格取得は転職ではそれほど有利になるケースはありません。
なぜなら、30代に対して企業が期待しているのは実務経験だからです。知識があったところで経験がなくては仕事にならないね、ということです。
なお、年齢的に経験が浅い20代であれば、ポテンシャル(潜在能力)が評価されるので資格も有用だったりします。
ですが数年以上の実務経験があるはずの30代前半は、ポテンシャルなどという不確かなものではなく実務経験なんですよね、企業が見てくるのは。
ということで、もし転職をしたい30代のあなたがマトモな資格を今の時点で持っていないのであれば、資格取得など考えずに、こちらの記事を参考にしてすぐさま転職活動を開始することをおすすめします。
年齢が上がれば上がるほど、転職するハードルは高くなっていきます。有利に転職活動する最大の秘訣は、早く転職活動をスタートすることですよ。
転職で有利になれる資格とは?
転職活動のためには、資格取得よりも早く転職活動を始めることのほうが重要ですが、とはいえ、どうしても資格を取りたいという資格信者もいます。
もしあなたがそうならば、上記の結論ではスッキリしないでしょう。
そんなあなたのために、転職で有利になれるとすればこれしかないという資格の種類を紹介します。
- スキルレベルを証明する資格
- 上位キャリアに挑戦するための資格
- 業務独占資格
スキルレベルを証明する資格
これまでの実務経験上のスキルを証明する資格を持っていることは、転職で有利になれる場合があります。
なぜなら、職務経歴書に記載した内容の裏付けになるからです。
あなたは職務経歴書で、あなた自身の強みをアピールすることになります。この強みを客観的に証明できるような資格があれば、説得力が出るというものです。
ということで、スキルレベルを証明する資格を持っていることで、転職に有利になれる可能性は高いです。
上位キャリアに挑戦するための資格
上位のキャリアに挑戦できるだけの知識・スキルがあることを証明する資格を持っていることは、転職活動で有利になれる可能性があります。
やる気はあるし、真面目だし、(実務の経験がなくとも)知識はそこそこあるよね、ということになるからです。
仮に、あなたが面接時に今後のキャリアプランを聞かれた際、おぼろげな夢を語るのと、実際に取得済みの資格に関する上位キャリアを語るのとでは、どちらが説得力がありますかという話ですね。
ということで、上位キャリアに挑戦するための資格は、転職で有利になれる可能性があります。
業務独占資格
業務独占資格とは、その業務ができるのは該当する資格保有者だけですよ、と法律で決められている資格のことです。医者とか弁護士とか学校の先生とかですね。
この業務独占資格を持っていることで、転職で有利になれることがあります。
業務独占資格保有者がいないことで、その業務に関して人不足に陥っている会社は多数あるからです。多額の会社経費を使って既存社員に資格取得させるようなことをしなくて済みますし。
このようなことから、業務独占資格は転職で有利になれる可能性があります。
転職で有利になれる資格10選
おまたせしました。それでは転職で有利になれる資格を、具体的に紹介します。
スキルレベルを証明する資格
MOSエキスパート
取得難度:★☆☆☆☆ 転職有利度:★★★★☆
MOSとは、マイクロソフトオフィススペシャリストの略。WordやExcelといったOffice系ソフトが操作できることを示すことができます。
MOSには一般レベルの「スペシャリスト」と、上級レベルの「エキスパート」があります。
スペシャリストは難易度が低すぎるので、30代転職のアピールにはなりません。エキスパートを取得しましょう。
MOSエキスパートは、パソコンを使用する事務職において高く評価されるケースが多々あります。
取得難易度が高くないにもかかわらず企業側の評価が高いという、とてもコスパの良い資格ですね。
日商簿記2級
取得難度:★★★☆☆ 転職有利度:★★★☆☆
日商簿記2級は経理職への転職に役立ちます。
事務として経理の手伝いをした等の経験がある30代には、経理的な知識レベルを示すものとして転職活動時に有効です。
なお、日商簿記には2級のほかに3級と1級とがあります。3級は簡単すぎ、1級は難しすぎるということで、転職のために取得することはおすすめしません。
未経験挑戦やキャリアアップするための資格
医療事務
取得難度:★★★★☆ 転職有利度:★★★☆☆
医療事務は民間資格であり、医療事務に該当する資格は多くの団体から出ています。
このような医療事務系の資格の中で、最も転職で高い評価を受けているといわれるのが「診療報酬請求事務能力試験」です。
診療報酬請求事務能力試験は、数ある医療事務系資格の中で最高クラスの難易度。資格取得に必要とされる勉強時間は300時間にも及びます。
300時間というと、毎日2時間勉強を5ヶ月間です。かなりガッツリと勉強しなければ合格できません。
しかし、それだけの時間と労力を費やすことの見返りは大きく、転職活動で他の医療事務系資格保有者と競合した場合には優位に立てることが多いです。
取得していると面接時に、面接官から「結構頑張りましたね」と言ってもらえるかも。
ちなみに、短期間で取得できる医療事務系資格では、企業からの評価は低く、取得したけど無意味だったというケースも多々ありますので注意してくださいね。
介護福祉士実務者研修
取得難度:★☆☆☆☆ 転職有利度:★★★★☆
介護系の資格は様々ありますが、介護初心者に最もおすすめの介護系資格は介護福祉士実務者研修です。
450時間の研修を受けなければなりませんが、基本的に試験はありません。時間はかかるものの、取得難易度は高くありません。
似た資格に「介護福祉士初任者研修」というものがあります。しかし、取得すべきは介護福祉士実務者研修の方です。
詳しくは書きませんが、サービス提供責任者や介護福祉士など、その後のキャリアアップの道が開かれているのは介護福祉士実務者研修の方だからです。
取得するなら介護福祉士実務者研修の方ですよ。
ビジネスマネージャー検定試験
取得難度:★☆☆☆☆ 転職有利度:★☆☆☆☆
ビジネスマネージャー検定試験は、会社でのマネジメント業務で求められるマネジメントスキルを示す検定試験です。転職によりマネジメント職を目指したい30代におすすめです。
国家資格ではありませんが、商工会議所が企画する検定試験ということで企業側の信用度は高めです。
年々難易度は上昇しているものの、他の資格・検定と比較すると簡単な方。1日1時間勉強を1ヶ月半ほど継続すれば、合格が見えてくるでしょう。
ただし、ビジネスマネージャー検定試験に合格したからといって、転職時に引く手あまたになるわけではありません。マネジメント職は、実務上の経験が特に求められるからです。
グループリーダーなど小規模なマネジメント経験があって、上位管理職へのキャリアアップを目指すような場合に助けになる検定です。
ビジネス実務法務2級
取得難度:★★★☆☆ 転職有利度:★★☆☆☆
ビジネス実務法務2級は、法務関連への転職を目指す30代向けの民間資格です。
弁護士や司法書士といった社外の法律専門家とのやり取りをスムーズに行えるだけの知識があることを示すことができます。
ビジネス実務法務には2級のほかに3級と1級とがあります。
3級は社会人マナーに毛が生えた程度の資格という扱いですから、30代の転職では役に立ちません。3級は飛ばして2級から受験しましょう。
1級は非常に難易度が高く、ぶっちゃけ独学での合格はかなり厳しい。取得するのに膨大な時間がかかりますが、所詮は資格なのでコスパ悪すぎです。
メンタルヘルス・マネジメント検定試験Ⅱ種
取得難度:★★☆☆☆ 転職有利度:★☆☆☆☆
メンタルヘルス・マネジメント検定試験Ⅱ種は、マネジメント職のほか、労務への転職を希望する30代向けの検定試験です。
メンタルヘルスマネジメント検定試験には、Ⅱ種のほかにⅢ種とⅠ種とがあります。
Ⅲ種は会社従業員自らのメンタルケアに関する検定であり、Ⅰ種は社内のメンタルヘルス対策を推進する人向けのもの。転職のために取得するのはⅡ種一択ですね。
メンタルヘルスの問題は社会問題になるなど、昨今では注目されてはいます。しかし、メンタルヘルス対策を主眼において求人をかける企業は多くはないため、転職有利度はそれほど高くありません。
中小企業診断士
取得難度:★★★★★ 転職有利度:★★★★☆
中小企業診断士は、経営コンサルティングに関する国家資格です。取得をすることにより、転職や昇進・昇格はもちろん、独立も視野に入るガチ資格ですね。
多くの資格が机上の空論であることであるのに対し、中小企業診断士の資格は実践的。それは、中小企業診断士資格取得までに、かなりみっちりとした実務補習を受けなければならないからです。
中小企業診断士になるには、中小企業診断士の筆記試験・口述試験合格後、3年以内に15日以上の実務補習を受けるか、15日以上診断実務に従事する必要があります。
実務補習では、実際の企業に関して経営診断をしたり報告書を作成したりします。15日間という短期間ではありますが、この実務補習は実務そのものと同様であるため、すべての中小企業診断士は(多かれ少なかれ)実務経験者ということもできるのです。
このような中小企業診断士の30代転職における求人需要は非常に高いです。とはいえ、非常に難しい試験でもあるため、転職をかなり先読みして勉強を始めなければならないですね。
業務独占資格
ケアマネージャー
取得難度:★★★☆☆ 転職有利度:★★★★★
ケアマネージャーとは、ケアプランの作成、要介護の認定等を行う仕事です。介護職員のように夜間勤務がないため、介護関連職で日中に働きたいという人に向いています。
勉強の目安時間は200時間。毎日2時間勉強をしても3ヶ月以上かかる計算です。独学でも合格できる試験ではありますが、効率性を考えて通信教育やスクーリングを利用する人も多いです。
社会保険労務士
取得難度:★★★★☆ 転職有利度:★★★★★
社会保険労務士は、企業の就業規則、労働者名簿、賃金台帳等の作成や、行政官庁への書類提出などを独占業務とする国家資格です。
人事労務への転職を目指す場合、非常に有利になります。また、企業への転職ではなく独立開業も可能となる有望資格です。
しかし、社会保険労務士試験合格後、社会保険労務士として登録するには、2年間の実務経験を有しているか、約4ヶ月間の指定講習を受けなければなりません。
当然、社会保険労務士といえど、指定講習修了者より実務経験者の方が企業からの評価は高いです。
つまり、労務実務未経験者が社会保険労務士資格に挑戦するのは、コスパという面ではあまり良くありません。
宅建士
取得難度:★★★★☆ 転職有利度:★★★★☆
人気資格として常に名前が挙がる宅建士。不動産取引における重要事項の説明や契約書への記名・捺印等、宅建士でなければ行えない独占業務があります。
また、事務所人数に応じて宅建士を置かなければならないという設置義務もあるため、不動産業界においてはなくてなならない存在。
宅建士の資格取得のための勉強時間は300時間程度。1日2時間の勉強を5ヶ月間継続するという目安です。大学の法学部出身者でもない限り、イメージ以上に取得まで時間を要するといわれています。
不動産業界への転職を考えて宅建士を目指すというのもありますが、そのために約半年間費やすのであれば、転職を急ぐのであれば、先に不動産業界に転職して働きながら宅建士を目指すこともアリです。
宅建士の資格を持っていなくとも、書類・面接対策を万全にしていれば不動産業界は内定が取りやすいからです。
行政書士
取得難度:★★★★☆ 転職有利度:★★★☆☆
行政書士には、官公庁に提出する書類の作成や事実証明に関する書類の作成等、資格独占業務があります。
ただし、行政書士法により、行政書士が勤めている会社名で独占業務である書類作成等を行うことは禁止されています。
しかし、勤務会社から業務委託を受けて行うということができます。会社の実情がわかっているため、スムーズに業務を行いやすいというメリットがあります。
企業としても、案件ごとに外部の行政書士に業務を依頼することと比べると、社員兼行政書士に依頼したほうが簡便かつ、安価で済むことでしょう。
まとめ|30代転職で有利になれる資格12選
いかがでしたか? 上記で紹介した資格を一覧にしました。
種類 | 資格名 | 取得難度 | 転職有利度 |
スキルレベル証明資格 | MOSエキスパート | ★☆☆☆☆ | ★★★★☆ |
スキルレベル証明資格 | 日商簿記2級 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
キャリアアップ資格 | 医療事務 | ★★★★☆ | ★★★☆☆ |
キャリアアップ資格 | 介護福祉士実務者研修 | ★☆☆☆☆ | ★★★★☆ |
キャリアアップ資格 | ビジネスマネージャー検定試験 | ★☆☆☆☆ | ★☆☆☆☆ |
キャリアアップ資格 | ビジネス実務法務2級 | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
キャリアアップ資格 | メンタルヘルス・マネジメント検定試験Ⅱ種 | ★★☆☆☆ | ★☆☆☆☆ |
キャリアアップ資格 | 中小企業診断士 | ★★★★★ | ★★★★☆ |
業務独占資格 | ケアマネージャー | ★★★☆☆ | ★★★★★ |
業務独占資格 | 社会保険労務士 | ★★★★☆ | ★★★★★ |
業務独占資格 | 宅建士 | ★★★★☆ | ★★★★☆ |
業務独占資格 | 行政書士 | ★★★★☆ | ★★★☆☆ |
資格取得は有利な転職をするための一手段に過ぎないということは忘れないでくださいね。
資格取得をするより、一刻も早く転職活動をすることの方が、転職成功という結果をつかみやすいということが大大大原則ですよ。
ここを間違えると、人生の遠回りになりますからね。