
パワハラがキツくて転職を考えているんだけど、転職理由を聞かれたときにどうやって答えたらいいんだろう? 他の人の転職理由にも興味あるな。
現役転職アドバイザーが、30代の転職理由と転職理由の伝え方について解説します。
※この記事は3分程度で読み終わることができます。3分後、あなたはそもそも転職するべきか否か、転職するとすればその理由は企業側に何と伝えればいいのかがわかっているはずです。
30代の転職理由トップ10
まずは30代の転職理由から見ていきましょう。
大手転職サービス会社のdodaが年代別の転職理由ランキングを発表しました。30代の結果は次のとおりです。
- ほかにやりたい仕事がある
- 会社の将来性が不安
- 給与に不満がある
- 残業が多い/休日が少ない
- 専門知識・技術力を習得したい
- U・Iターンしたい
- 幅広い経験・知識を積みたい
- 会社の評価方法に不満がある
- 業界の先行きが不安
- 市場価値を上げたい
30代転職理由1 ほかにやりたい仕事がある
実はこの「ほかにやりたい仕事がある」という理由は、20代でも1位、40代では1位「会社の将来性が不安」と僅差の2位。
そもそも、自分自身が本当にやりたい仕事は何なのか、わかっていない人は多いです。また、キャリアを重ねるにつれ、入社当初とは別の希望を持つ場こともあるんでしょうね。
採用企業側からすると、「キャリアプランが描けていない」「先の見通しが甘い」というマイナス評価を受けます。
30代転職理由2 会社の将来性が不安
20代では目立った順位ではなかった「会社の将来性が不安」という転職理由。30代で2位、40代では1位です。
年齢が上がり、将来の見通しが現実的なものとなってきて不安になった、という感じでしょうか。
採用企業側からは、自分で会社を変えていこうという意欲がない」「受け身」というマイナス評価を受けますね。
30代転職理由3 給与に不満がある
働く大きな意義の一つである給与。生々しい話ですが、やはりお金ありきと考える30代は非常に多いです。
ちなみに、dodaの平均年収ランキングによると、30代の平均年収は次のとおりです。
年齢 | 男性 | 女性 |
30歳 | 439万円 | 367万円 |
31歳 | 457万円 | 375万円 |
32歳 | 467万円 | 382万円 |
33歳 | 483万円 | 387万円 |
34歳 | 497万円 | 381万円 |
35歳 | 502万円 | 387万円 |
36歳 | 512万円 | 392万円 |
37歳 | 525万円 | 390万円 |
38歳 | 535万円 | 394万円 |
39歳 | 540万円 | 399万円 |
人によってお金の価値は違うので、この平均を上回っていれば幸せ、下回っていれば不幸、なんて単純なものではないですよね。
平均年収を紹介したのは、あなた自身の転職市場価値を知ってほしかったからです。
もしこの年収よりもあなたの年収が大幅に多いのであれば、あなたの転職市場価値は高い。給与は会社からの評価だからですね。
逆に、大幅に低いようならマズイです。あなた自身の何が会社から評価されていないか把握してください。そうしないと転職活動をしても内定はもらえませんよ。
ところで、年収を上げたいという場合は、平均年収が高い業種を目指すというやり方があります。30代の業種・職種ごとの平均年収をdodaが調べていましので、引用させていただきました。
まずは業種です。
業種 | 30代の平均年収 |
金融 | 543万円 |
総合商社 | 518万円 |
IT・通信 | 505万円 |
メーカー | 478万円 |
メディカル | 468万円 |
建設・プラント・不動産 | 453万円 |
インターネット・広告・メディア | 446万円 |
専門商社 | 442万円 |
サービス | 410万円 |
小売・外食 | 388万円 |
続いて職種。
職種 | 30代の平均年収 |
専門職(コンサルティングファーム・専門事務所・監査法人) | 624万円 |
企画・管理系 | 510万円 |
営業系 | 507万円 |
技術系(IT・通信) | 500万円 |
技術系(電気・電子・機械) | 498万円 |
金融系専門職 | 495万円 |
技術系(建築・土木) | 443万円 |
技術系(メディカル・化学・食品) | 431万円 |
クリエイティブ系 | 408万円 |
販売・サービス系 | 363万円 |
事務・アシスタント系 | 344万円 |
「現職の給与に不満があるから転職したい。転職先として考えているのは事務!」とか、意味不明な転職活動はしないように気をつけてくださいね。
30代転職理由4 残業が多い/休日が少ない
働き方改革により長時間労働は減る傾向にあります。しかし、依然として長時間労働・休日出勤という職場が多いのも事実。
社会の風潮と大きく乖離した現場にいると、その過酷さが際立ちますよね。その結果、「残業が多い/休日が少ない」と嘆いて転職を考える30代が多いということに。
さて、ここでまたdodaの調査結果の出番です(dodaすごいな!)。職種別の平均残業時間の調査結果がありますので、以下抜粋します。
職種 | 月間残業時間 |
ゲーム(制作・開発) | 45.3時間 |
インターネット・広告・メディア | 42.4時間 |
建築施工管理 | 41.5時間 |
ビジネスコンサルタント | 40.5時間 |
設備施工管理 | 39.4時間 |
調理・ホールスタッフ・フロアスタッフ | 38.0時間 |
人材サービス・アウトソーシング・コールセンター | 37.0時間 |
構造設計 | 36.8時間 |
機械設計・金型設計・光学設計 | 36.4時間 |
ファッション(アパレル・アクセサリー・テキスタイル) | 36.3時間 |
人気のIT系、結構ハードですね。
30代転職理由5 専門知識・技術力を習得したい
「専門知識・技術力を習得したい」という転職理由は、今後のキャリア形成を考えてのことでしょう。
たしかに、何の取り柄もないということでは、万が一現職を離れざるを得ない状況となったときに潰しが効きません。
とはいえ、本来であればこのように考えるべきは20代の頃まで。会社の中核を担う30代がこのような考えをもって転職するというのは少し遅いです。
求人企業側からは「(若かったとはいえ)キャリアプランが甘かった」と評価されます。
30代転職理由6 U・Iターンしたい
U・Iターンは、仕事を変えるのみならずライフスタイルも大きく変更するというもの。日々の生活、家族との関係、将来設計等、人生をトータルで考える必要があるのでかなり大変。
こういったU・Iターンをしたいという転職理由を挙げるということは、やむを得ない状況や譲れないモノがあるからでしょうね。
U・Iターンは、地方圏が人材不足ということもあり、歓迎される傾向にあります。U・Iターンをしたいという転職理由を根拠立てて伝えることができれば、選考の際に不利になることはないでしょう。
ただし、都市部から地方部へのU・Iターンとなると、給与面はあまり期待できません。
30代転職理由7 幅広い経験・知識を積みたい
「幅広い経験・知識を積みたい」という転職理由の場合、突出した経験・知識に加えて幅広く、ということであれば求人企業側から大歓迎されます。
しかし、これといった経験・知識を持ち合わせていないのに「幅広く~」などというのは甘い。ジェネラリストにもスペシャリストにもなれない中途半端なキャリアしか身につかないですよ。
もちろん、企業側からもそこはシビアに見られます。これまでの経歴の中で、自信を持てる経験・知識を得られているのかを確認してください。それがない場合、求人企業側からの評価は激下がりです。
30代転職理由8 会社の評価方法に不満がある
「会社の評価方法に不満がある」ことを転職理由に挙げる人は、ほとんどの場合、現在の会社から低い評価を受けているということ。
つまり、自分の能力が低いということを自らアピールしているようなものです。
実際は本当に現在の会社に問題があるのかもしれませんが、求人企業側はそうは受け取ってくれず、負け犬の遠吠えぐらいにしか見てくれません。転職理由としては最悪です。
30代転職理由9 業界の先行きが不安
オックスフォード大学でAI等の研究を行うオズボーン教授が、人間が行う仕事の47%が今後10年以内に自動化される、つまり無くなる可能性があるという論文を発表しました。
オズボーン教授が無くなる可能性があるとした仕事をいくつかピックアップします。
- 銀行の融資担当者
- レストランの案内係
- 保険の審査担当者
- 電話オペレーター
- 給与・福利厚生担当者
- レジ係
- 娯楽施設の案内係
- ネイリスト
- 集金人
- ホテルの受付係
- 電話販売員
- データ入力作業員
- 簿記、会計、監査の事務員
- 訪問販売員
- カメラ、撮影機器の修理工
- 測量技術者、地図作成技術者
- 造園、用地管理の作業員
- 建設機器のオペレーター
- 塗装工
この他にも、将来的に大幅なリストラを断行せざるを得ない業種・職種は山ほどあります。
とはいえ、そのような不安を現在の会社では解消できないのか、つまり転職の必然性について、再度考えてみてもいいかもしれませんね。
30代転職理由10 市場価値を上げたい
「(自分の)市場価値を上げたい」という理由で転職をする人は、まずは現在に所属していていは市場価値が上がらないのかということを考える必要がありますよ。
現在の会社でもその余地が残されているのに転職しようというのは、求人企業からは浅薄に見られたり、他に真の転職理由があるのではと勘ぐられたりしますから。
30代が転職前に考えるべきこと3つ
転職アドバイザーである私が30代から転職相談を受ける中で、「その理由で本当に転職していいのか?」と疑問を持つケースが多々あります。客観的に考えて、転職がマイナスにしかならないからですね。
そこで、30代が転職前に考えるべきことを3つピックアップしました。あなたの転職理由と見比べてください。
- 現在の会社で転職理由を解消できないか
- 現在の会社で積み上げてきたキャリアは他の会社でも伸ばせるのか
- 転職理由は転職活動でマイナス評価にならないのか
考えること1 現在の会社で転職理由を解消できないか
転職は大なり小なりリスクがあります。たとえ選考時に高い評価を受けて入社したとしても、新しい職場で活躍できるかはわからないですもんね。
現在の会社で受けている評価が劇的に低すぎるということでなければ、転職せずにとどまったほうが評価リスクは低いですよ。
よって、転職は最後の手段と考えるべきです。
転職理由となっている不満・課題を、現在の会社で解決できないのかをまずは考えてみる。上司に改善を提案する、異動申請する等、やれることはまだあるはずです。
考えること2 現在の会社で積み上げてきたキャリアは他の会社でも伸ばせるのか
30代ともなると、これまで積み上げてきたキャリアがあるはず。基本的にはこれがキャリアプランの根幹になります。
30代は、その幹をどれだけ太く高くすることができるのか、どのような枝葉をつけることができるのかを考えるべき時期です。
転職によりキャリアを伸ばすことが阻害されないか考えてみましょう。
仮に同じ業種・職種に転職したとしても、そこには新卒から入って頑張っている既存社員がいます。企業文化も異なるでしょう。そういった中で、これまでのキャリアを伸ばせるような仕事が割り当てられるのか、そしてそれを伸ばしていけるのかということは、全くの未知数ですよね。
これまで積み上げてきたキャリアを転職によってより育てるということは、思っている以上に難しいことですよ。
考えること3 転職理由は転職活動でマイナス評価にならないのか
求人企業は選考時、自己PRや志望動機と並んで転職理由も重視します。転職理由を見ることで、会社での実績・評価やキャリアプラン、仕事への考え方等がわかるからです。
転職理由次第で不採用になることは普通にありますよ。
あなたの転職理由は大丈夫ですか? まさか「人間関係」とか「パワハラ」とか「給料」とか、言い出したりしないですよね?
では、30代が転職活動で答えるべき転職理由を解説します。30代が転職理由を作るフローは次のとおり。
- 自分の強み(スキル・知識、実績)を具体的に把握する
- 現職では、自分の強みを活かせなくなった(今後活かせなくなる)ということを実例を交えてまとめる
- 自分の強みをさらに活かせる場を求めて転職を決意したとする
ここで終われば退職理由。さらに、強みをどのように活かせるかまで踏み込めば転職理由になります。
この転職理由の良いところは、強みを存分にアピールできるところです。ネガティブになりがちな転職理由が、ポジティブに切り替わりますからね。
この流れに従って転職理由を作れば、転職理由がもとで落とされることはありません。
ちなみに、20代の頃のようにポテンシャル採用をしてくれる企業など、30代ともなるとほぼほぼありません。30代転職は、強みを活かしてナンボの世界です。
まとめ|30代の転職理由トップ10と落とされない答え方
微妙な理由で転職活動をしても、内定はもらえません。もらえたとしても、前職よりさらに悪い条件になったりします。
まずは、本当に転職しなければならないのかどうか、しっかりと考えてください。転職しないという選択のほうがマシなケースは多々ありますよ。